札幌市営住宅「下野幌団地」跡地を利用して生まれた「マールク新さっぽろ」。2街区のうち、病院4棟、分譲マンション、商業施設、ホテル、立体駐車場で構成されているI街区に電力や温水、冷水、熱といったエネルギーを一手に供給しているのが、同街区内にある北海道ガス(本社・札幌市東区)の「新さっぽろエネルギーセンター」。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。

(写真は、天然ガスコージェネレーションシステム)

「マールク新さっぽろ」の象徴となっているアクティブリンク。I街区にある7つの施設を結ぶ、楕円形の空中歩廊だが、そのアクティブリンクと繋がっているメディカルテナントビルの1階と地下1階にあるのが「新さっぽろエネルギーセンター」。機械室に入ると、規則的なエンジン音が聞こえてくる。その音を発している、さほど大きくない機械がガスコージェネレーションシステム。この機械は、天然ガスで発電するとともに、出てくる排熱を利用して蒸気と温水(80℃、40℃)を製造している。1基の発電能力は1271kw。それが2基設置されており、約2500kwの発電をしている。

 北ガス担当者は、「I街区では3500kwの電力需要があるので、6割程度の電力をこのシステムで発電しています(足りない分は、北ガスの電気として外部系統から調達)。発電効率は43・1%ですが、排熱利用により83・3%の総合効率が得られます。40℃の普段は使わない温水は、冬場に雪を溶かすために利用でき、冬季のエネルギー総合効率は89・5%まで高まります」と説明する。担当者が、コージェネレーションシステムの扉を開けると、エンジン音がより大きく響き渡り、会話もままならないほどになった。

 天井には、カラフルな配管が化学プラントのように幾何学的に張り巡らされている。「冷水が青、温水がオレンジ、蒸気が赤、ガスが黄色というように管理しやすいようにしています」(担当者)。機械室には、コージェネレーションシステムで発生した蒸気を利用して、冷水を製造する排熱投入型蒸気焚吸収式冷凍機もある。また、25tの蒸気を製造できる蒸気ボイラー4台も設置されていて、温水と冷水の製造用蒸気を発生させている。

(写真は、機械室の天井に張り巡らせされているカラフルな配管類)

「I街区の温水は、ゴミを固形化した燃料を燃やして温水を作っている北海道地域暖房からも受け入れています。蒸気をそのまま供給して病院の滅菌、殺菌で利用しているほか、温水は各施設の暖房設備や給湯などに、冷水は各施設の冷房設備に利用されています」(担当者)。

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