銀行の支店といえば、1階路面店でカウンターがズラリと並んでいるイメージだが、そんな銀行支店らしからぬ銀行支店が、2024年3月11日に誕生した。ビル建て替えに伴いオープンした北陸銀行(本店・富山市)札幌支店(札幌市中央区大通西2丁目5)がそれ。(写真は、建て替えオープンした北陸銀行札幌支店)

 北陸銀行札幌支店や同行北海道事務所が入る、旧ビルの跡地を利用して竣工した「ほくほく札幌ビル」。地下3階、地上13階の新ビル2階に入ったのが、北陸銀行札幌支店と同行北海道事務所。エレベーターで2階に上がり、扉が開くと、そこはもう支店フロアになっている。そこから見える窓口は2ヵ所しかなく、半透明な間仕切りに囲まれたブースがいくつか並んでいる。

「銀行に来た」という、予定調和の安心感はここにはない。初めてのお客なら、「間違ったかな」と思うような空間が広がっている。ビルの外には「北陸銀行札幌支店」の看板もなく、支店内には、貸金庫もATMもない(全自動236函の貸金庫は地下2階、ATM1台も地下2階)。いわば、「ないないづくし」の銀行支店なのである。

 それもそのはず、多くの人はネットの利用で銀行に行く機会がめっきり減っており、フル装備の銀行支店は今や必要ないからだ。代わりに求められているのが、資産運用などのコンサルティング業務。窓口よりも半透明ブースが目立つゆえんだ。

 かつて、まちの一等地には、銀行支店の路面店が軒を連ね、15時になると一斉にシャッターを下ろすため、「まちの賑わいを失わせている」とも言われた。しかし、今回の北陸銀行札幌支店などビルインの店舗を構えるケースが増えており、そうした言葉もあたらなくなっている。新しくなった「北陸銀行札幌支店」は、銀行を取り巻く環境の変化を反映していると言えそうだ。



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