北海道の若手経営者に成長の気づきを提供する「北海道経営未来塾」(塾長・長内順一未来経営研究所社長)の第5回定例講座が2023年10月13日、札幌市中央区の札幌パークホテル1階「テラスルーム」で開かれた。今回は、ニトリホールディングス(HD、札幌本社・札幌市北区、東京本社・東京都北区)の似鳥昭雄会長兼CEOが「ニトリの働き方」をテーマに、塾生ら約40人に向って講演した。(写真は、北海道経営未来塾で講演するニトリHD・似鳥昭雄会長兼CEO)

 似鳥氏は、「売り上げを上げることを目的にしていては、成功し続けることはできない。私は創業当初、いつも売り上げが上がったか、下がったか、利益はどうだと考えていたが、そういう時はあまり伸びていなかった。何のために会社を経営するのかという志を明確にして、長期ビジョンを持たないと企業は成長しない。多くの企業は、新年を迎える4ヵ月ほど前から次年度計画を作る。しかし、それではせいぜい1~2%しか売り上げは伸びない。私は、30年計画を2度作ったが、あなた方も長期ビジョンを策定すべきだ」と長期ビジョンの大切さを訴えた。

 続けて、「現在あるのは、親が私に家業の手伝いなど、人一倍の苦労をさせてくれたおかげだと思っている。高校、大学と何の勉強もしていないが、ここまで成功できたのは、あの時の苦労があったからと感謝している。今は、偏差値の世界だが、成功とは別問題。成功の一番の秘訣は、観察、分析、判断、改革のサイクル。何が問題か、何が足りないのか、どうしてそういう問題が起きているのかを分析、判断して、即できることは改善、ひと月、ふた月、1年かかることは改革として取り組んでいく。私は商売をやってから、そればっかりやっている」と振り返った。

 一人当たりの生産性に触れ、「ニトリは、アルバイトやパートも入れて一人当たりの荒利は2094万円。米国企業の平均は1500万円、日本企業の平均は818万円。まず、自分の企業の生産性を知ることが必要。どれだけ給料が払えるかというと、普通は荒利の3分の1、33%だが、それは安いからと40%、50%を出している企業もある。荒利は最低でも1000万円を超えないといけない。1000万円に到達するためには、どうすればいいかを考えなければならない」と述べた。

 似鳥氏は、親から100万円を借りて無一文でスタートしたことについて述べ、「皆さんは、親から引き継いでいるから楽ですよね」と塾生を鼓舞しつつ、「100倍の発想をしなければならない。年商5億円だったら500億円の売り上げを想定すべき。長期ビジョンは20年以上のことを言うが、毎年10~15%伸びないと100倍にならない。どれだけ出店するか、資金繰りをどうするか、担保をどうするか、人材をどうするか、教育をどうするかなど、全部逆算していくことがポイントになる」と話していた。


21人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。