北海道を代表する銘菓「白い恋人」を手掛けるISHIYA(会社名・石屋製菓、本社・札幌市西区)は2月15日より、新商品の発売を道外直営店限定で開始した。商品名は“Zaqu(ザク)”。ラング・ド・シャ生地を丸めて焼き上げた同品は、「白い恋人」の前身とも言える同社往年のヒット商品「シェルター」を彷彿させるが、この商品名を耳にして思わずハッとするガンダムファンは少なくないだろう。(写真は、甘さ控えめで食べ飽きしない美味しさの“ザク”)
(青のパッケージはミルクチョコ、白はホワイトチョコ=写真)

 この商品は、丸めた軽やかな食感のラング・ド・シャ生地に、同社こだわりのチョコレートを流し込んで仕上げられている。ミルクチョコ入りとホワイトチョコ入りの2種類を展開し、価格はいずれも8本入り税込み1080円。取扱店舗は銀座・新宿・東京駅・羽田空港・心斎橋・成田国際空港の各直営店(※成田国際空港は免税店)。ほど良い甘さのラング・ド・シャとミルク・ホワイトそれぞれのチョコとの味の調和が食べ飽きしない焼菓子に仕上がっている。

 同品について石水社長は「かつて当社で作っていたお菓子・シェルターを復刻させたい、という思いはありました」と話している。その「シェルター」とは、石水社長の父・石水勲会長がかつて駄菓子メーカーから高級洋菓子メーカーへと事業転換を推し進めていった際に開発したもの。生地を筒のように丸めて焼き上げた形状が、地下鉄のシェルターを連想させたので名付けられた。

 札幌冬季五輪の前年1971年に発売された「シェルター」は大ヒット。これにより同社は高級洋菓子メーカーの地位を確立、同時に同品で培ったラング・ド・シャをはじめとする製造技術は1976年発売の「白い恋人」に生かされていった。

 言わば「白い恋人」の原点である「シェルター」を現在の技術でクオリティを高め、復刻したのが今回の新商品と言えそう。だが、“ザク”といえば、ロボットアニメの金字塔『機動戦士ガンダム』に登場する有人操縦の人型ロボット(モビルスーツ)を思い浮かべる人は少なくない。そのザクは、日本のロボットアニメ史において初めて量産型という概念を根付かせ、プラモデルなどの関連商品は今も大人気だ。

 新商品の名前は、ガンダムも意識したものだったのか。石水社長に直接聞くと、「いえ。全く意識してはいませんでした。今聞かれて、あっ、と思ったほど。僕は(ガンダムに)あまり詳しくないから」。ネーミングについては、食感・歯ざわりの音のイメージから取ったもの。当初は「くるり」という商品名を計画していたが、それは既に商標登録済で、「Zaqu(ザク)」の商標は未登録だったためという。

「ガンダムのザクかぁ。その着眼点は面白い。いつか抹茶味を作ったらパッケージはガンダムの方のザクと同じ、緑色にしてみようかな」と石水社長は話していた。
(昨年11月にオープンしたJR東京駅構内の直営店、「イシヤ 東京ステーション」でも同品を販売している=写真)



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