商業施設の企画・設計、コンサルを行っているディール企画(札幌市)の野呂幸司社長(74)が職業訓練校の笑顔塾(小菅美恵子社長)で求職活動中の約20人を相手に講演した。テーマは「切に生きる」。自分に与えられた立場や境遇で最善を尽くすという意味で、野呂氏自身の半生を振り返って、「切に生きる」ことの大切さを訴えた。(写真は、笑顔塾で講演する野呂幸司氏)

 野呂氏は同教育大函館分校の学生のころ、山岳部リーダーとして冬山登山に臨んだ旭岳で遭難、11人のパーティでただ一人生還した経験を持つ。

 
 奇跡の生還をしたものの、凍傷によって両足の足首から切断する手術を受けて身障者となる。教員を目指していたが、飛んだり跳ねたりできないため教員への道は閉ざされたも同然だった。しかし、野呂氏は健常者以上に鍛錬を重ねて飛ぶことや跳ねることなど教員に必要な運動能力を習得して教員採用試験に合格、函館で中学校教諭として社会人のスタートを切る。

 
 笑顔塾の講演では、その後教員を辞めて生命保険会社のセールスマンとなったこと、紋別で友人と鉄工所の経営に乗り出して不渡り手形をつかまされたこと、さらに今の会社を設立した経緯などについて、その時々の苦労話を交えながら約50分に亘り話した。

 
 野呂氏は、「人生は1回しかない。自分に与えられた立場、境遇で最善を尽くす『切に生きる』ということが何よりも大切だ」と強調していた。


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