低価格スーパー7店舗を展開する卸売スーパー(本社・札幌市手稲区)が、旗艦店の「現金問屋手稲店」(同区前田4条7丁目1-1)をリニューアルしておよそ1ヵ月が経過した。店舗のチラシを全廃、EDLP(エブリ・デイ・ロー・プライス)を徹底することで、値上げラッシュが続く食品スーパーに一石を投じた。リニューアルから約1ヵ月、社長職を長男の達也氏(42)に譲った津司耕太郎会長(72)に今後の展開について聞いた。(写真は、「現金問屋手稲店」)

 ーー「現金問屋手稲店」のリニューアルのポイントは。

 津司 チラシをやめてEDLPを導入したことだ。店内放送でその日の特売品を紹介するようにしたところ、売り上げは以前より伸びた。チラシの効果が読めない時代だ。テレビCMは月350本を流すことを続けているが、テレビも観ない人が増えている。チラシ、テレビCMで買い物客を引き付ける販促手法は曲がり角に来ている。今後はYouTubeの広告も取り入れていかなければならない。

 ーー値上げラッシュが続いている。

 津司 当社には加工食品や飲料、カップ麺など3~4億円分の在庫がある。当面、値上げしなくてもいけるが、メーカーからの値上げ圧力は強い。いずれ、時期を見て値上げする。

 ーー低価格がセールスポイントだった卸売スーパーは価格競争力を保てるのか。

 津司 安い商品には安いなりの理由がある。味や鮮度という面で安い商品は見劣りする。例えば、魚や肉では外見では分からなくても、安い商品は中身に差があるものだ。こうした安い商品を売っても店舗は継続できない。我々は、これまでも安い商品を安く売ってきたわけではない。良い商品を安く売ってきた。だから店舗は続いてきた。しかし、この1年で業界環境が急に大きく変わった。青果、精肉、水産の生鮮3品は市場ではほとんど手に入らず、生産者や農協、漁協との直接取引をしても十分に調達できなくなっている 

 ーー商品の供給が滞り始めているということか。

 津司 スパゲティやトマト缶などの輸入品は入らなくなってきた。これまで輸出していた国が自国消費に回し、輸出できない状況だ。もちろん原料も輸入量が少なくなるので、冷凍食品業界に大きな影響が出てくるだろう。冷凍食品は安いというイメージがあったが、その時代は終わったと感じている。

 ーー原料不足とコロナ禍、ロシア問題が重なって食品不足になっている。北海道にも影響が及ぶ。

 津司 私は北海道の食品スーパーは全店舗の3分の1がやめるとみている。特に地方ではモノが行かなくなって、大手グループ以外は立ち行かなくなる恐れがある。現在は、2㎞圏内、4㎞圏内には競合店がひしめいているが、いずれ10㎞圏内に1店舗という状況になって競争がなくなってしまう可能性がある。それは、地方から始まるだろう。

ーー食品スーパー激変の渦中に社長交代をした。

 津司 5月に社長職を長男の達也専務に譲った。メーカーなど取引業者の人たちは30代、40代で私と話が合わなくなった。息子は私のもとで何十年と修業をしてきた。私にないものを持っており、任せられると判断した。

 ーー達也社長に期待するものは。

 津司 これからのスーパー経営では、正直に売ることと焦らないことの2点が必要だ。焦らないというのは、売り上げを上げるために安易な方法に頼らないということだ。焦らず努力することだ。私は7割の人間は努力しようと思ってもできない環境にあるとみている。彼は力を持っているので努力を続けるだろう。(この稿終わり)



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