卸売スーパー(本社・札幌市手稲区)は、3月27日(日)で「卸売スーパー北郷店」(同市白石区北郷8条4丁目8-15)を閉店する。同社の津司耕太郎社長は、「この店舗の役目は終わった」と話す。(写真は、3月27日で閉店する「卸売スーパー北郷店」)

「卸売スーパー北郷店」は、旧ジョイの店舗跡に約22年前に賃借出店、営業を続けてきた。当初は売り上げも一定程度確保でき近隣住民の買い物需要に応えてきたが、近年は大型店の進出などで売り上げが低迷。現在でも月間7000万円の売り上げは確保できており、赤字店舗ではないものの、立地環境からこの先が見通せないため営業終了を決めた。
 津司社長は閉店の理由について、「役目を終えたため」としている。食品スーパーを取り巻く環境が、コロナ禍や生鮮食品の品薄という事情から大きく変わったことが背景にある。

 とりわけ生鮮食品の品薄傾向によって、食品スーパーの存在意義が揺らいでいるという。「青果、精肉、水産の生鮮3品は市場ではほとんど手に入らず、生産者や農協、漁協との直接取引をしても十分に調達できなくなっている。また、輸入精肉は海外に買い負けしており、コンテナが日本に入ってこない状況になっている」と津司社長は指摘する。加えて、コロナ禍3年目に入り、飲料、カップ麺、調味料などの値上げも重なって、「食品スーパーはこれまでと違う運営方法が求められる。我々の世代が経験したことのない時代になった」と話す。

 一方で、「卸売スーパー新さっぽろ店」(厚別区)を改装、「現金問屋手稲店」(手稲区)も5月の大型連休後に改装を予定している。「食品スーパー業界はどこも苦しい経営状況だ。他社と同じことをしていても続けられない。経験したことのない時代だが、進まなければ勝てない」と津司社長。子息の津司達也専務との社長交代も近く行い、新たな店づくりを加速する考えだ。



40人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。