滝川市中心部から北に12㎞離れた江部乙町に4月14日、「セブンーイレブン滝川江部乙店」がオープンした。これによって既存の「ローソン滝川江部乙店」、「セイコーマート江部乙店」のコンビニ3店舗が狭い地域に集中することになった。いずれも国道12号線沿いに店舗を展開しているが、3店舗共存となるのかどうか、コンビニブランドを賭けた局地戦が始まった。(写真は、4月14日にオープンした「セブンーイレブン滝川江部乙店」)
(写真は、「ローソン滝川江部乙店」の向かい側に出店した「セブン―イレブン滝川江部乙店」)

 4月14日にオープンした「セブンーイレブン滝川江別乙店」(江部乙町西12丁目1-52)。4月にしては肌寒さが感じられる中、地域住民が途切れることなく訪れた。店舗を運営するのはJAたきかわサービス(滝川市)。実は、「セブンーイレブン」の店舗に至るまでには変遷があった。JAたきかわサービスが展開する最初の店舗は、「Aコープえべおつ店」だった。農協系小型スーパー「Aコープ」は、昭和から平成中期頃まではどの農協にも必ず存在した店舗だった。しかし、コンビニやスーパーの台頭で北海道でも徐々に減少、「Aコープえべおつ店」も2012年に閉店。その頃、国道12号線の拡幅工事が行われていたため、閉店を機にセットバックして店舗を新設、ほどなく「スパーえべおつ店」をオープンさせた。

 当時のスパーは、旧セイコーマート(現セコマ、本社・札幌市中央区)の関連会社、北海道スパーが本部を務めるボランタリーチェーン(VC)のコンビニ。JAたきかわサービスは経営の自由度が制限されるフランチャイズ(FC)ではなく、比較的経営の自由度が高いVCの展開を選択した。しかし、2016年8月に北海道スパーは、オランダの「スパー」本部との契約を解消して解散。代わって、セイコーフレッシュフーズ(同・同市白石区)が受け皿となって同じVCの「ハマナスクラブ」を立ち上げ、「スパー」の後継ブランドになった。「スパーえべおつ店」もこの頃、「ハマナスクラブえべおつ店」として新たなスタートを切った。

 それからおよそ5年、今度はFCの「セブンーイレブン」に転換した。建物は「スパー」オープン時に新設しており、ブランド転換は3度目になる。店舗変遷の経過を見ると、JAたきかわサービスとセコマとの関係は深い。にもかかわらず、JAたきかわサービスは「セブンーイレブン」への転換を選択した。両者間に何があったのかは定かではないが、「セブンーイレブン」転換は両者の距離を感じさせるのに十分だ。

 江部乙町では、「ローソン滝川江部乙店」(江部乙町東12丁目1-1)、「セイコーマート江部乙店」(江部乙町西11丁目1-63)がある。「ローソン」は30年近い運営実績があり、「セイコーマート」は2022年1月27日にオープンしたばかりの店舗。かつてあった「セイコーマート」は、落雷を受けた影響で10数年前に閉店しており、事実上の新規店舗と位置付けられる。今度の「セブンーイレブン」は「ローソン」の向かい側で、「セイコーマート」までは600mほどしか離れていない。
 江部乙町の人口は約3000人、世帯数は約1700。交通量が比較的多い国道12号線に面しているとはいえ、コンビニ3店舗が共存できるかどうかは未知数。ブランドを賭けた局地戦が江部乙町で始まった。



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