「20秒の勝負から40秒の勝負に舞台を変える」ーー洋菓子製造販売ケイシイシイ(本社・小樽市)が運営する「ルタオ新千歳空港店」が、この春からこんな戦略を採用している。北海道の洋菓子ブランドが一堂に会する新千歳空港。ホットな戦いの場で繰り広げられているのが、ソフトクリーム戦争。その戦争にルタオは、パルフェで新たな挑戦を始めた。(写真は、「ルタオ新千歳空港店」で限定販売している「ムースフロマージュパルフェ」夏バージョンの「トロピカルメロン」)

 新千歳空港は、北海道のスイーツブランドが揃うショーウインドー。味、鮮度、価格を追求した各社のスイーツが旅行客の争奪戦を繰り広げている。その代表格がソフトクリーム。1個400円台のソフトクリームは旅行客が最後に口にする北海道の味とも言える。そのソフトクリームを1個作る時間はおよそ20秒。いわば20秒の勝負があちこちで繰り広げられている。 

「ルタオ新千歳空港店」もこの20秒に向けてソフトクリームを扱っているが、原材料価格の値上がりや牛乳の消費拡大という中で、「新しい価値を提案しようと始めたのが、空港限定パルフェの新バージョンでした」と平岡紘吉店長(35)は言う。同店の一番人気の商品、「ドゥーブルフロマージュ」(レアチーズケーキとベイクドチーズケーキが2層になった新感覚スイーツ)とルタオのオリジナルソフトクリーム「クレームグラッセ」(十勝加藤牧場のジャージーミルク使用)が一度に楽しめる「ムースフロマージュパルフェ」がそれ。

 新千歳空港では、パルフェの戦いももちろん繰り広げられている。400円台から800円台まで幅があるが、空港の待ち時間という制約の中での商品提供という点から、味、価格、量に加えてスピードも要求される。試行錯誤の中で辿り着いたのが、ほぼ40秒で作ることができる「ムースフロマージュパルフェ」だった。このプレーンをベースに期間限定バージョンを加えたのが同店のパルフェ戦略。プレーンは700円(税込み)、期間限定バージョンは750円(同)の価格を設定、4月1日から販売を始めた。期間限定第1弾は春バージョンの「宇治抹茶」。上品な渋みとミルキーな味わいの和風テイストパフェで人気を博した。

 6月15日から販売を開始した夏バージョンは、北海道の赤肉メロンを使った「メロンドゥーブル」をトッピングしたパルフェ「トロピカルメロン」。メロン果汁を合わせたメロン風味のムースにクレームグラッセを搾っており、爽やかな味わいの夏らしいパルフェとなっている。

「ムースフロマージュパルフェ」を投入した頃から、徐々に空港利用客も増えてきたが、コロナ禍でほぼ2年間にわたって開店休業状態が続いたことから、店舗従業員の販売スキルはなかなか上達しなかった。このため、当初はパルフェを作るのに手間取り、時間もかかっていたが、ゴールデンウィーク前後から空港利用客も増加。それに伴って販売個数も増えてスキルが上達、今では40秒を切るまでになった。秋には、栗、冬にはかぼちゃを使った期間限定バージョンも予定している。

 現在、この空港限定パルフェは1日70個以上売れており、1ヵ月で3000個以上の販売を見込む。「当社の特徴は、新商品が他のスイーツ企業と比べて圧倒的に多いこと。チョコレート工場からスタートした当社のDNAが新商品開発に引き継がれています」と新岡慎也企画開発部販促企画課マネジャー(37)。そのDNAが今回の「ムースフロマージュパルフェ」の原動力になった。

 北海道のスイーツ激戦の象徴とも言える新千歳空港で、20秒から40秒に舞台の比重を変えたルタオ。2022年の「新千歳空港ソフト・アイスクリーム総選挙」では、このパルフェで勝負を挑んだ。常勝の「きのとや」のソフトクリームを追い抜くことができるか、7月上旬にその結果が出る。

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