日本の論客として時代の趨勢を分かりやすく解説する寺島実郎さん(62)さんが、生まれ故郷の北海道・沼田町で5月25日に記念講演を行った。寺島さんは、財団法人日本総合研究所会長や三井物産戦略研究所会長、多摩大学学長などを務め、経済産業省や文部科学省の審議会委員などにも就いている。

寺島さんの実父が明治鉱業幹部で、沼田町にある炭鉱のナンバー2として赴任していた時に寺島さんが生まれた。その後、寺島さんは父親の転勤で白糠や芦別に移ったが、小学校からは札幌で過ごしている。沼田の思い出は少ないものの出生の地として思い入れがあるのも確か。町にとっても天下の論客を生んだマチとして関係を維持しておきたいと思って当然。
今年は沼田町商工会が創立された90年、法制化されて50年の節目の年あたるため、これを記念して町は寺島さんに町民栄誉賞を授与。授賞式を兼ねた講演会開催になったという訳。
当日は午後6時半からの栄誉賞の授賞式に続いて約1時間講演。夜にも関わらず地元沼田町をはじめ近隣の市町村や100㌔離れた札幌からも関係者が詰め掛け、会場となった町民会館は二階席までほぼ満席。
「帯畜大や酪農大、室工大、北見工大、北大など北海道はユニークな大学を持っているから、大学のポテンシャルを活かしきることが必要」「農業を専門にしたアカデミズムの再設計によって第2の札幌農学校を作り食の分野で日本をリードすべき」「農業の現場を支える人材を育てるのが重要だし、アカデミズムと農業のリンケージで北海道活性化を」などと述べていた。
寺島氏の沼田町滞在時間は、約2時間半。多忙な身ながら、しばし生まれ故郷の空気を感じた里帰りになったようだ。

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