北洋銀行の新頭取に4月1日付で就任した石井純二氏(60)が行う初の人事に注目が集まっている。役員と幹部の人事は6月26日の株主総会後に実施されるが、行内事情を熟知した石井頭取の人事采配は外部的には変化が少ないと見られているものの、行内では大変革という受け止めが支配的だ。行内人心の掌握という新頭取の第一ステップで、早速石井カラーが発揮されたようだ。(写真は、北洋銀行本店ビル)
 
 北洋銀の取締役は、会長、頭取以下12人。6月人事では高向巖相談役と小澤敏美常務が取締役を外れるため2人の新任取締役が誕生する。
 
 抜擢されたのは、桶谷満執行役員帯広中央支店長と高橋正幸執行役員函館中央支店長。これまでの北洋銀の慣例でいけば、経営管理や融資の部門を担当する常務執行役員からの昇格が予想されたが、フタをあければ2人とも現場部門からの就任。しかも、桶谷氏は旧北海道拓殖銀行、高橋氏は旧北洋で、寄り合い所帯である北洋銀のバランスもしっかり取れている。
 
 役付取締役の昇格人事でも、旧北洋の滝川幹氏、旧拓銀の中村栄作氏が揃って常務に就任するなどこちらもバランス重視の姿勢が貫かれている。
 
 と、ここまでの取締役人事を概観すると「バランス重視で変化が少ない」という外部の見方が出てくるのも当然。
 
 しかし、石井頭取の真骨頂は北洋銀の20ブロック店の支店長交代に現れる。執行役員が就くブロック支店の釧路中央、帯広中央、函館中央の支店長が交代するほか、他のブロック支店の支店長も大幅入れ替えが行われる。これまでになかったほどのブロック支店長の異動は、石井頭取の現場重視の姿勢を行内に浸透させる意味は大きく、“内なる大変革”は北洋行員に刺激を与えるのは確実。
 
 事情通によると、「これまでの日銀出身頭取はどうしても限られた人材にしか目が届かなかったが、旧拓銀出身でプロパーに近い石井頭取は要所要所の人材を隈なく捕捉している印象だ。石井頭取の初人事は、上には変化が少なく、下には変化が大きい“上低下高”と言える。石井人事の外部印象と行内印象は大きく異なる」と語る。
 
 石井頭取の初人事は適材適所を実行した中身の濃いものとなったようだ。


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