北海道からニトリやアインのような有力企業を輩出しようと官民協働で若手経営者の育成に取り組んでいる「北海道経営未来塾」(塾頭・長内順一未来経営研究所社長)は29日、札幌市中央区の札幌パークホテルで2019年度第3回の講座を開催した。今回は、一般を含めた公開講座ではなく塾生のみの講座となり関係者を含めた約50人が参加。元オリエンタルランド副社長で現在は総合エンターテインメント企業、アミューズ(本社・東京都渋谷区)取締役副会長執行役員を務める柴洋二郎氏(69)が講演した。(写真は、北海道経営未来塾で講演する柴洋二郎氏)

 柴氏は、神奈川県出身で北海道大学を卒業。1974年4月に旧日本興業銀行に入行し最初の3年間を札幌支店に勤務、通算8年間(北大に5年間在学)札幌で生活した経験がある。興銀は2002年に第一勧業銀行、富士銀行と合併してみずほ銀行になり、柴氏は05年に常務執行役員から東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドに入社。

 同社は、千葉県浦安沖の埋め立て会社としてスタートしたもので79年にディズニーランド誘致を決め83年に開園、柴氏は旧興銀OB人事の一環として3人目OBとして入社した。「私がみずほ銀行を退職する時、旧知のJR東海の役員が送別会をしてくれた。その時に『東京ディズニーリゾートには旧国鉄の悪いところが3つある』と言われた。1つは組合があること、2つは旧国鉄の鉄道本部のような運営本部があること、3つは経営企画の部署があること。私は入社後、この3つを言い訳にして新しい取り組みをしない社内の雰囲気を変えることを徹底した」と語った。

 当時の東京ディズニーリゾートは2年連続で入場者が減少、株式上場企業だったため総会屋との付き合いや業者選定のリベートなどコンプライアンス上の問題も抱えていた。柴氏はこうした社内体制の改革に力を注ぎ、副社長を経て同社に8年間在籍。8年間で入場者は1・3倍、1人当たりの売上高は20%伸び、売上高は40%増、経常利益、純利益は4倍になったという。

 柴氏は、「エンターテインメント業界ではお客の立場に立ったもてなしが基本。私は銀行員時代に相手の心を感じることに重点を置いて仕事をしてきた。そのことがエンタメ業界でも役に立ったと思う」と話していた。


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