画像 102
農水省企画官の木村俊昭さん(50)が、4月10日に行われる北海道知事選に出馬することを表明した。これによって、知事選では現職の高橋はるみ知事(57)と木村さんの事実上の2大対決になる。いずれの候補も地域重視を掲げており、疲弊する地域をいかに活性化していくか、道民にとっては身近な選挙戦になりそうだ。


 1月16日の日曜日、午後3時から札幌グラントホテルで木村さんは出馬会見を行った。プレス関係者約50人とともに、木村さんを知事選に推すきっかけとなった市民らも集まった。
 木村さんの出馬表明は10分ほどで終了し、その後、プレスの質問が約20分続き、会見時間は35分間ほどだった。
 1月3日に行われた高橋はるみ知事の出馬会見も約30分で終了しており、細かな政策や公約が両候補共にまだ固まっていない中で、木村さんも出馬の決意表明というレベルにとどまった。
 木村さんが強調したのは、「北海道を元気にする」ということ。西興部村生まれで遠軽町育ちの木村さんは、道産子であることを訴え、「大切な子どもさんやお孫さんが住みたいと思うような北海道を作る」ことを繰り返し述べていた。
 マイクを通じて語る言葉は次第に熱を帯び、既に選挙演説モードに入ったような口ぶり。それほど広くない会見場には、木村さんの声が響き渡りプレス関係者の耳には、その迫力が十分に伝わってくるものだった。
 その一方で、出馬に至る経緯や民主党から出馬要請を受けて1ヵ月以上経っていることなどに対するプレスからの質問に、木村さんの答えは必ずしも明確なものではなかった。「なぜ出馬を決意したのか」の答えが「北海道を元気にしたい」というだけでは、雰囲気で伝わってもこれからの選挙戦で道民の胸にストレートに飛び込んでくるものではない。
 高橋知事の出馬表明もアウトラインのみの表明だったが、2期8年の実績がその中身を穴埋めしており、新人のハンディは明らか。
 木村さんは、3月にも公約を明らかにするが、それまでに熱意を形に変えて分かりやすく訴えていく「見える化」が必要になってくるだろう。
 木村さんが、パネルを持って強調したのは、道民所得を向上させることと医療の充実だった。確かにいずれも道民生活に直結するだけに最重要な課題だが、それを実現するプロセスの一端が聞こえてこなかったのは残念だった。
 木村さんは、地域再生のプロといわれており、全国各地で地域おこしの実績がある。プランナーであり実務家であり、なにより地域の人々をその気にさせるポピュリストの一面があるようだ。元気をなくしている道民にとって、木村さんのような知事が必要な時期かも知れない。「楽しそうだ」「何かできるかも知れない」と思わせる術は高橋知事よりも上を行く可能性がある。
 高橋知事は出馬会見で「北海道の地域を誰よりも知っている」と述べたが、木村さんはその言葉に対抗したのか「全国を誰よりも見てきている」と語った。両候補による知事選バトルが静かに始まっている。
(写真は、知事選に出馬を決めた理由を語る木村俊昭さん)


この記事は参考になりましたか?