今や少なくなった大箱レストラン。席数が多く、一般需要に加えて宴会や慶弔需要にも対応でき、何でも食べられる飲食店として利用されてきた。しかし、今ではとんかつやカレー、回転寿司など単品カテゴリーの飲食店が増えて、大箱レストランはあまり見かけなくなった。そんな中、小樽市銭函の和風レストラン「銭函大山(ぜにばこおおやま)」が、移転を機に店舗を新築、メニューに「焼肉」も加え、パワーアップして12月10日(金)にオープンする。(写真は、12月10日に移転新築オープンする「銭函大山」)
(写真は、小上がり座敷から臨めるオープンキッチン)

「銭函大山」は、創業40年の和風レストラン。1981年4月に札幌市手稲区星置で「鮨処大山」としてスタートしたが、3年後に小樽市銭函3丁目4に2階建て、84席の「銭函大山」をオープン、1993年11月には店舗を拡張して約200席に増やした。メニューの多彩さには目を見張る。職人が握る本格的な寿司のほか、天ぷら、そばなど和風メニュー、エビフライやハンバーグなど洋食メニュー、さらにラーメンなども提供する。一番人気は、小樽のご当地メニューとされる「あんかけ焼きそば」。寿司店がルーツだけあって、新鮮な魚介類を利用したあんは定評。二番人気はミックスフライ定食だそう。

 200席もある店舗だったため、近隣企業の宴会や地域の会合、近隣住民の慶弔などのほか、仕出しや弁当、年末にはおせち料理も販売。食卓・台所として、まさに地域のセントラルキッチンのような役割を果たしてきた。地域に親しまれてきた店舗だったが、開店から37年が経過して老朽化が進み、建て替えに迫られていた。折しも、コロナ禍で大人数での飲食需要は激減。躊躇もあったがピンチをチャンスと捉え、国の事業再構築補助金制度も活用、店舗を国道337号線沿いの銭函3丁目509-3に移転新築した。

 新店舗は、一見するとレストランとは思えないような濃いグレー色で重厚感がある。店内は、カウンターや小上がり座敷、テーブル席を合わせて154席からなり、客席から調理場が見えるオープンキッチンを採用した。新たなチャレンジは、焼肉のメニュー化。焼肉ゾーンは44席で、十勝池田町の池田牛を提供。タレやキムチは自家製で、塩だれで食べるのがお勧めという。銭函海水浴場も近いことから、夏場はアウトドア向けのBBQセットも販売する予定。敷地面積は715・11坪(2364・01㎡)、店舗面積は247・95坪(818・23㎡)、駐車台数は36台。

 店舗をプロデュースした空間計画(札幌市中央区)の野口信一代表取締役は、「慶弔需要や少人数での利用に対応できるように、テーブル席は間仕切りができるようになっており、テーブルの組み合わせもフレキシブルに変えられるようにしています。また、メニューに焼肉を加えることで、客層の広がりも期待できます。40年の歴史を継承しながら、新しい展開をできるような設えにしました」と言う。
 創業者の長女で、店舗を運営する有限会社鮨処大山の宗形沙苗専務(45)は、「これまで住宅地で営業してきましたが、今回は初めてロードサイドへの出店。先代がやりたかった焼肉も始めるので、地域のお客さまを大切にしながら新たなお客さまの利用を期待したいですね」と話している。単店、大箱レストランの新たな挑戦が始まる。
(写真は、「大山すし御前」2750円)



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