IMG_1689 2010年にノーベル化学賞を受賞した北大名誉教授の鈴木章さん(83)。独創的な研究から生み出された触媒反応は鈴木カップリングと言われ、医薬品や化学品などの製造に広く利用されているが、その鈴木さんか示唆に富む言葉を発した。4月中旬の「北海道大学ほっかいどう同窓会」設立記念座談会で話したもので研究者だけでなく一般社会人にも響く名言だ。鈴木さんのリアル語録を紹介しよう。(写真は、鈴木章さん=2014年4月18日、北海道大学ほっかいどう同窓会設立記念座談会で)

 
 理研のSTAP細胞を巡るゴタゴタは科学の信頼性を大きく歪めたが、鈴木さんはこの騒動を念頭に「サイエンスの世界で今のようなことが起こるはずがない」とキッパリ断言する。「こうやったらこうなる、この通りにやったらこうした結果が出てくるというものでなければサイエンスとは言えない。テクニックの問題と言っているようだが、誰がやってもハッキリと同じ結果が出てくるのがサイエンス」と小保方さんのSTAP細胞の作製成功の話はサイエンスとは言えないことを指摘した。
 
 鈴木さんは、大学のランク付けについても苦言を呈する。2013年の大学世界ランキングで東大が世界23位、北大は340位だったことについてこう述べている。「私はこうした大学のランク付けはあまり正しいことだとは思わない。なぜなら独創的な仕事は大学によって決まることではないと考えるからだ。ランク付けというものは、意味のない無駄な発想である」
 
 東大だろうと北大だろうと勉強や研究に関係はないと鈴木さんは言うが、「東京や大阪では雑多な制約がある中で勉強や研究に集中しなければならず難しい面もある。むしろ北大の環境は非常に恵まれている」として北大から次のノーベル賞受賞者が必ず出ると強調する。
 
 現役の北大学生に向けてメッセージを求められた鈴木さんは、こう答える。「若い人たちは大学で知識を高めると同時に自分がやりたいことを自分で決めないといけない。自分で決めたことに将来も自分の責任として進んでもらいたい」
 
 鈴木さんは、学生時代や留学時代に2人の恩師から影響を受けたことを紹介。北大総長だった杉野目さんからは「モノマネはだめだ。独創的であれ」、留学先の米国バデュー大ブラウン教授からは「教科書に載るような研究をせよ」という言葉で、その後の生き方を左右することになったという。
 そのうえで、鈴木さんはこう述べる。「重箱の隅をほじくるようなことはするな。小さくても何も入っていない重箱を埋めるような人まねではない独創的な仕事をせよ」
 鈴木さんの発言は、生きて行くための真髄を短い言葉で端的に示している。


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