ーー新型フォーマットの店舗展開は考えていますか。

 青栁 検討しています。既存店の活性化を通じて新しいアイテムを入れたり、さまざまな実証実験を行っています。今は、そういう段階です。新しい売り場をつくってみたり、新しいカテゴリーを差し込んでみたり、PCをどう活用したらいいかなど。既存の稼ぐ力を落としたら何もならないので、既存店舗をきちっとテコ入れして、稼ぎ出す力を維持していくことは、最低限必要なこと。それをしながら、次の成長原資をつくっていくことを同時進行で進めています。競争の構図が大きく変わっているので、フォーマットは変わるかもしれませんが、中期計画の期間中には展開したい。

 ーーM&A(企業の買収・合併)や協業を含めて、店舗以外の成長エンジンをどう構築していきますか。

青栁 M&Aや協業ができるチャンスがあれば、やらなければならないと考えています。当社は北海道を基盤とする会社ですので、道外に出るのは、ネットのECビジネスくらいで、リアル店舗ビジネスは道内でしっかりと戦っていきます。今持っている業態をドミナンスしてどう磨き上げるかが第一ですが、M&Aや他業態との協業で成長を目指すことも選択肢の一つです。競合各社は、アプリなどをリリースして顧客の会員化などを進めています。ベーシックなデジタルの部分でどう勝ち切れるかは、今後の鍵になるでしょう。 
 イオンの買い物アプリに、「iAEON」(アイイオン)があります。最大の強みはグループ内でペイメント機能があること。ペイメントの仕組みを持っているからこそできることを、生活圏でどう広げていくか、他社と差をつけていくのは、そうしたところではないかと考えています。

 商品開発や売り場づくりで各社が切磋琢磨していくことは、北海道のお客さまにとって良いこと。お客さまにどれだけ近づくことができるかは、生き残りの条件とも言えます。イオングループだからこそできる強みは、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)にあります。これは、一番の差別化になるでしょう。金融系や保険系は差別化の要素として大きい。住宅資金をイオン銀行で借りたら、イオンの店舗で5%オフによって何年間か買い物ができるなど、グループだからこそできることがたくさんあります。ライフタイムバリューを道内でどう広めていけるかです。私たちのやるべきことは、北海道にイオングループの全てのものを持ち込んで、ライフタイムバリューを拡大していくこと。それをしていかなければ、道内にイオンがある価値はないのではないか。そこを目指していきたい。

 ーーイオン本体の持ち株比率は75%を超えています。100%子会社化の選択肢はありますか。

 青栁 それはないですね。東証再編で当社はスタンダード市場を選択して、それをクリアするためにどうするかを今、進めています。イオンは親子上場を推進しています。各地域で独立性を持ちながら生きていくためにも、北海道の企業として自主性を持たないと意味がない。地域のことは地域で向き合うのがイオンの連邦制経営の根幹ですから、より地域性を出していく方向になります。

 ーーありがとうございました。



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