イオン北海道(本社・札幌市白石区)が、マックスバリュ北海道を統合してから2年半が経過した。GMS(総合スーパー)とSM(食品スーパー)、DS(ディスカウントスーパー)など、多様な業態を持つスーパーとして統合効果も見え始めてきた。同社初の惣菜や精肉などのパック商品を生産する「イオン石狩PC」も稼働から1年が経過、店頭の品揃えにも好循環が生まれてきた。青栁英樹社長に統合2年の成果と見えてきた課題、中期計画の進捗状況などについて聞いた。〈あおやぎ・ひでき〉1961年3月生まれ。1983年4月信州ジャスコ(現イオン)入社、2005年3月イオン佐野新都市店長、2007年4月同社マックスバリュ事業本部東北事業部長、2013年3月イオンリテール執行役員北陸信越カンパニー支社長、2014年3月同社執行役員店舗構造改革チームリーダー、2015年4月同社デジタル推進リーダー、2017年3月イオン北海道執行役員営業本部副本部長、2017年5月同社取締役兼執行役員営業本部長、2018年10月社長就任。

 ーー最近の消費傾向をどう見ていますか。

 青栁 第1四半期決算は1・8%の増収(収益認識会計基準を除く)、58・9%の増益でしたが、前の期が悪かったことの反動です。前期は、SM(食品スーパー)各社が大きく業績を伸ばしましたが、GMS(総合スーパー)業態やモール業態がある当社は、行動規制が影響し、食品は堅調だったもののそれ以外は厳しかった。粗利が高い衣料品などの構成比が下がり、食品は競合と戦っているので相対的に利益率が下がりました。今期になってからは、衣料品の売れ行きが戻ってきて、コロナ前の2019年に届いたカテゴリーも出ています。社会行事が回り始め、お祭りや花火大会も3年ぶりに行われるようになったからです。2年間なかった需要が復活して、好循環が見えてきました。

 食品は、直近では厳しくなっています。2019年の水準とほぼ同じなので、他社とのギャップが少しあると思います。食料品価格の値上げトレンドが出ているので、DS(ディスカウント)業態は、確実に売り上げが伸びています。曜日に関係なく、売れています。お客さまが価格に敏感になっていることがよく分かります。まいばすけっとは、昨年までにMD(販売政策)の変更など試行錯誤をして、失敗したこともあれば成功したこともありました。コロナ禍の巣ごもり需要で一昨年はかなり伸びましたが、その後、通常に戻った時、まいばすけっとはミニSMなのか、コンビニなのかという議論にもなっています。コロナ禍によって、コンビニは、即食のチルド系や冷凍食品を充実させています。当社もそうした変化を取り入れなければならない。実験をしながら品揃えを試して、軌道修正をかけています。

 ーー2021年度から2025年度までの中期計画の1年目はどうでしたか。

 青栁 計画に対して、食品はまだ足りないと思いますが、やるべきインフラの整備は行いました。江別にある物流センターだけでは、店舗の拡大や取り扱い量が増えた時に、対応できない課題が統合前からあったので、大型物流センターを建設しました。また、道内のSM各社が持っているプロセスセンター(PC)については、当社だけ持っていませんでしたが、昨年8月にイオン石狩PCが竣工・稼働してようやく道内のSM各社と同じスタート台に立つことができました。

 生産労働人口が減少する中で、店舗に商品を提供し続けるためには、センター化もしくはカミサリー(一次加工した商品などを製造すること)化しながら、店舗のオペレーション負荷を下げていかなれければなりません。その点では、まだスタート地点に立ったところだという認識です。
 石狩のPCには、イオングループの中でも規模の大きいソーター(商品を店や方面別に仕分けることを目的にした自動仕分け機器)や順立て機を導入、一気に商品を流し込んだり、一気に仕分けをしたりできる機械を入れました。これは、グループとしては初めての取り組みです。もっとも、初めてだからこそ悪戦苦闘しているところもあります。

 ーー中期計画1年目は順調に進んだと。

 青栁 インフラ投資、デジタル関係の投資は予定通りでした。投資は将来の成長のために必要です。昨年度は厳しい決算内容だったものの、投資は計画通りにやりきりました。そのリターンが2年目、3年目に出てくるでしょう。昨年度は、レジの投資もかなり行いましたし、実証実験でイオン東札幌店に電子値札を入れ、その成果が出てきたため、本年度はイオン小樽店やマックバリュ北1条東店など計5店舗に入れました。これから、順次各エリアの代表的な店舗に入れて、もう1回フィットさせながら、オペレーションしていきます。レジは、かなりフルセルフレジ、セミセルフレジに入れ替えてきたので、効率は飛躍的に改善しています。



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