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 ――ザンギなど惣菜はどう調達しているのですか。

 野尻 例えば、ザンギは鶏肉を買ってきて自分たちで味付けして作っています。カレーパンのカレー、ピロシキの具、つくねも鶏肉のひき肉を仕入れて自分たちでつくねにしています。豚の角煮も3時間コトコト煮込んでいます。ザンギは、もともと焼きそばパンのようにパンに乗せていましたが、お客さまからザンギだけ食べたいという声があったのでそれだけを販売したら大ヒット商品になりました。

 ――材料から一貫生産をしている強みですね。

 野尻 全部自分たちで作った方が美味しいのかと問われると、そうではないものもあると思います。具材などを購入する方が安定した品質になるメリットはあると思いますが、自分たちで材料から作ることによって従業員の心が絶対的に違ってきます。自分たちで作った商品という意識を持つ意味は大きいと思います。

 ――これからの商品開発の方向性は。

 野尻 当社は各店舗が自由に商品開発をしています。各店舗がバラバラで、例えばある店舗の店長が『来月、こんなテーマでやりたいから新商品を作ってみて』と言うと従業員が自発的に作ります。各店舗で新商品ができて人気商品になった時、他の店長もやってみたいと申し出て徐々に商品が広がっていきます。

 ――お客の声も取り入れる訳ですね。

 野尻 そうです。全店舗統一の商品はおそらく半分くらいしかありません。同じどんぐりというパン屋ですが、その店舗にしかないパンがたくさんあります。店長の裁量に任せて本部は介入しません。ただしあまりにも行き過ぎて統一感が保てない場合は介入することもありますね(笑)。

 ――最近、売れている新商品は何でしょうか。

 野尻 毎年ヒット賞を選んでいますが、今年初めに表彰されたヒット商品は煮卵チャーシューです。琴似店から生まれた商品ですが、これもチャーシューを作るところから始めます。卵を煮込んで味付き卵を作って……というように。

 ――どんぐりをどういう会社に成長させたいと思いますか。

 野尻 私はこの会社を大きくしたいとか、売り上げをいくらにしたいとか、店舗数を今の倍にしたいとかという目標は持っていません。いかにして潰れない会社になるかということしか考えていません。社長に就任したころは、私の目指すべきゴールは何かとずっと考えていました。入社当時、店長をしていた時には予算などがあって目標がありましたが、社長になってからはどこを目指して走れば良いのかと悩んでいました。ある時、明太子を生産している福岡のふくやさんの川原武浩社長に会う機会がありました。川原さんは、『会社を大きくすることを目標にしたら、その会社はおかしくなる。社長が一番やらなければいけないことは会社が続くようにすること。従業員、お客さま、取引先など会社がなくなったら困るでしょう。そのために規模拡大やIPO(新規株式公開)という選択はあるでしょう』と。
  
 川原さんの言葉をヒントにして、どうしたら潰れない会社になるかを考える中で、私は細くて背の高い木ではなく、不細工でもいいから絶対倒れない木のイメージに行き着きました。



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