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 ――そういう中からあの大ヒット商品“ちくわパン”が生まれた訳ですね。

 野尻 ちくわパンも、お客さまとの話をヒントに生まれた商品です。きゅうりを使ったり、チーズを入れたりするなど試行錯誤をして最終的にツナサラダとちくわに行き着いたようです。

 ――ところで、現在は8店舗ですが年商はどれくらいですか。

 野尻 今3月期で29億円弱になると思います。

 ――創業以来ずっと右肩上がりで成長してきたのですか。

 野尻 売り上げはずっと伸びてきました。私が社長に就いてからも下がる状況はありませんでした。

 ――来期の見通しはいかがですか。

 野尻 来年度は江別市に大麻店を出店しますが、森林公園店の移転ですので店舗数は変わりません。もう1店舗を夏ごろにショッピングセンター内に出店することが決まっています。

 ――大麻店のコンセプトはどういうものですか。

 野尻 大麻店は初めての札幌市以外の店舗です。当社は、北海道産小麦を江別製粉に委託して専用のブレンド小麦粉を作ってもらっています。大麻店ではそれを使うパンの種類を一番多くします。また、江別市内の農家とジョイントして何かできないか模索中です。

 ――ブレンド小麦粉を一番多く使うというのは、他の店よりも商品数を多くするということですか。

 野尻 ブレンド小麦粉は、ベーグルやフランスパンなど一部にしか利用していませんが、大麻店ではそれ以外のパンにも使っていきます。店内は、カフェも併設してテラス席も作ります。外には人工芝をひいて、子どもたちが走り回れる空間を作ろうと計画しています。ガラス張りにして、遊んでいる子どもたちが店内から見えるようにもしたいと思っています。

 ――大麻店のオープンの時期はいつですか。

 野尻 5月末から6月初旬を予定しています。当初、札幌市厚別区の森林公園店を閉めて大麻店をオープンさせる計画でしたが、森林公園店の近隣のお客さまなどから閉店しないで欲しいという声が多数寄せられるようになりました。お店があるからその近くに家を建てたという切実なメールもいただきました。そうした声も無視できなくなってきました。完全に閉店するのではなく、何か活用方法も検討したいと思います。

 ――ところで、どんぐりの店舗の中で売り上げナンバーワンの店舗はどこですか。

 野尻 売り上げが一番大きいのは新さっぽろ店です。本店は面積も小さいので売り上げは一番低い。

 ――各店舗でパンを焼き上げる設備を備えたいわゆるリテールベーカリー業態ですね。

 野尻 やはり鮮度が重要ですから、それぞれの店舗に窯を設置して焼いています。1ヵ所で集中生産して各店舗に配送する方が管理しやすいのかもしれませんが、それでは他のパン屋と同じようになってしまいます。どんぐりでは、1ヵ月ごとに商品の1部が入れ替わりますが、お客さまから『この前売っていたパンはありませんか』と聞かれることがあります。その際に『ありません』と答えるのではなく、『今すぐはできませんが、明日には作ることができますよ』というように、できる限りお客さまの要望に応えています。そのためには各店舗で焼くスタイルの方が良いからです。

 サンドイッチのトマトが苦手というお客さまには、トマトを除いたサンドイッチをその場で作ることもしています。創業以来のこの姿勢は変えないようにしたい。店数は増えましたが、あくまでも父ちゃん・母ちゃんが2人でやっているパン屋のようなスタンスでいたいのです。先ほど話したように基本的な考え方は、他のパン屋が取り組めないことを実践することです。最近、売り上げのトップ3に串ザンギが入っています。ザンギを串に3つ刺している商品ですが、これを見るとどんぐりって何屋さんなのだろうと思いますよ(笑)。ちくわパン、串ザンギ、サラダがトップ3です。