2017年の北海道経済は、様々な統計データを見る限り順調に推移した。多極分散型で地域によって産業構造が違う北海道の特殊性があるため、景気の体感温度には差があるもののプラスであったことは間違いない。一方で、様々な課題が積み残った年でもあった。JR北海道の路線縮小問題はその最たるものだ。そんなトレンドの先に広がる2018年はどんな1年になるのか。北海道経済連合会の髙橋賢友会長に見通しを聞いた。
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《たかはし・けんゆう…1953年7月生まれ、64歳。小樽市出身。77年3月早稲田大学政治経済学部卒、同年4月北海道電力入社。2007年7月理事経理部長、09年6月常務、12年3月副社長、16年6月退任。同年6月北電興業社長、17年6月会長。12年5月から15年5月まで北海道生産性本部会長、13年7月から15年7月まで北海道経済同友会副代表監事、16年6月から北海道経済連合会会長。

 ――2018年の景気見通しについて聞かせてください。

 髙橋 17年の北海道経済は、16年夏の台風被害の復旧工事などにより公共投資が増加し、16年度230万人に達した来道外国人が昨年9月実績で12万人(前年同月比23・7%増)と16ヵ月連続で前年を上回るなど観光が好調であったこと、加えて設備投資の増加や堅調な個人消費などにより回復基調だった。

 18年は、公共投資の反動減の可能性があるが、観光消費拡大や雇用・所得情勢の改善、個人消費も良い見通しで回復基調は維持するだろう。しかし、当会に所属する約500社の会員企業のうち、地域で活動する会員の生の声を聞くと景気回復の実感はまだまだ薄いことを実感する。道内の隅々まで景気回復が実感できるように各種施策を実行していく必要がある。

 北方四島での共同経済活動で実現を目指す事業の具体化、道内空港の民間委託に関する実施方針の公表、26年冬季オリンピック・パラリンピックの国内候補都市として招致プロセスに参加している札幌市の立候補最終判断などが予定されており、ダイナミックな動きのある年になりそうだ。さらに、「北海道」命名から150年目の節目の年でもあるため、北海道経済の活性化に向けて新たな一歩を踏み出す年にしたい。

 ――食と観光、ものづくり産業の活性化に向けた18年の具体策は。

 髙橋 食と観光、ものづくり産業の活性化は道経連活動の三本柱だ。食については、「北海道ブランド」として、東アジアや東南アジアを中心に世界で高い評価を受けている。一方で、国内には、競争相手となる地域がたくさんある。現状の評価に安住することなく、安全・安心、新鮮で美味しいという評価をさらに高めるとともに、道内で付加価値の高い商品を生み出し、道外・海外へ売っていく取り組みが重要だ。

 フード特区機構(北海道食産業総合振興機構)が道経連の兄弟団体なので、そこと連携して北海道の機能性食品表示制度「ヘルシーDo」の認知度向上や認定商品を増やす取り組みを行っていく。
 また、ICTで生育環境を制御するイチゴ生産の大規模植物工場が苫小牧東部工業基地に整備されたが、実証実験により植物工場のビジネスモデルの確立が実現した。今後、得られた知見を活用して植物工場の全道展開(「植物工場クラスター」)の環境づくりを徹底したい。海外需要の獲得に向けては、東アジア・東南アジアや中東イスラム諸国への輸出拡大を支援しており、引き続き道が掲げる食の輸出目標である18年に1000億円の達成に向け取り組んでいきたい。

 食の強化のためには農業にも力を入れなければならない。我々は、“農経連”と呼ばれるように、農林水産省にも出向く経済団体。全国でもそんな経済団体は道経連しかないだろう。強い農業を実現するためには、暗渠排水設備など「生産基盤の整備促進」を進めていくことが重要。実際、昨夏の台風災害においても、基盤整備された農地の被害は少なかったと言われている。当会としては今後も、1000億以上の額を当初予算で措置してもらうよう国への要望活動を継続していく。

 また、農業就業者の減少・高齢化や、農地の大規模化などに伴い、ロボット技術やICTなど先端技術を活用した「スマート農業」にも期待している。
 魅力ある道産食品を道外や海外にこれまで以上にタイムリーに移輸出するためには、物流システムの更なる充実も必要だ。運輸・倉庫・金融・荷主・大学等の関係者をメンバーとした「物流プロジェクトチーム」を立ち上げ、食関連産業の動向を踏まえた最適な物流システムも検討している。