札幌商工会議所の岩田圭剛会頭(64、岩田地崎建設社長)が就任しておよそ10ヵ月。札幌の経済成長が北海道の経済浮揚をもたらすと『パワーアップ!札幌』をスローガンに行政と一体となった活動に取り組んでいる。北海道は大転換期を迎えているが、空港民営化や北海道新幹線、JR北海道の路線問題など経済課題は山積している。札商・岩田会頭はこうした課題にどう向きあっているのか、インタビューした。IMG_6303(写真は、インタビューに答える岩田圭剛会頭)

 ――11月に札幌商工会議所会頭に就任されて10ヵ月が経ちますね。

 岩田 正直まだ10ヵ月しか経っていないのかという気持ちと、もうそんなに経ったのかという気持ちがあります。基本的にそんなに能力があるわけではないですから、ずいぶん忙しく感じます。前任の高向(巖)さんやその前の伊藤(義郎)さんに年初の総会の懇親会でお会いした時、『よくこんなに忙しいことをやっておられましたね』と言ったくらいです。
 副会頭として見ていた時と比べても、雲泥の差という感じがしています。でもおかげさまで各副会頭にも理解してもらい、一生懸命やっていただいています。道商連も各地の会頭はJC(青年会議所)出身の方もずいぶん多くて前から存じ上げているので助かっています。

 ――改めて札商の会頭の仕事、経済界での立ち位置について聞かせてください。

 岩田 商工会議所は、中小企業の総合体ですから北海道経済を一番敏感に感じる“触覚”という感じを持っています、各役所や関係機関は商工会議所の意見を重要視して頂いていると感じます。それと、足腰や手足を持っているので様々な運動もやりやすい組織だと思います。
 幸い景気は回復基調にありそれは数字にも表れています。しかし、北海道にとって大きな問題は人口減少。1年間で3万3000人も減ったとか、19年連続で減っているという状況の中で、人口減少は働き手不足につながっていき将来的なマーケットの縮小に向かいます。従来の仕組みが変わっていく大転換期の中で、会議所がどうやって経済の担い手としての役割を果たしていけるのかを全体で考えていかなければいけない。地域が疲弊していく中で、元気を出せることをやっていきたいと思っています。

 ――高向前会頭は『行動する商工会議所』というスローガンを掲げました。岩田会頭のスローガンは?

 岩田 『パワーアップ札幌』ということで、札幌に活力が出れば北海道全体にも波及します。まず札幌を元気にしようと言ってきました。一極集中のようにどんどん札幌に集中して地方が弱っている事情があるわけですから、札幌が経済を引っ張ってその効果を道内に波及させていかなければならない。高向名誉会頭は本当に自分が先頭になって、動いておられて一生懸命でしたが、私はそこまでのパワーがないものですから、いろんな人たちに協力をしていただきながら、理解を深めて皆でやっていきたいと思っています。

 ――JC時代から考え方や気持ちを良く理解されている副会頭もおられて、会頭職を遂行しやすい環境ですね。
 
 岩田 そういう意味で本当に恵まれています。

 ――北海道は大転換期なので、北海道経済連合会や北海道経済同友会、北海道観光振興機構など経済団体の連携プレーも大事です。

 岩田 4団体のトップが揃っての意見交換は今までに4回ほどやっています。空港民営化やJRなど問題があればやっており、今後は定期的にやろうと話しています。

 ――景気は上向いてはいるもののなかなか実感はありません。会頭は今の景気状況をどう見ていますか。

 岩田 インバウンドがずっと好調で前年比30%増ぐらいになっていると思います。これに関連して宿泊費も少しずつ上がって観光業界が良い。建設業界は、昨年8月の災害復旧が本格的になっていますしゼロ国債も年初から組んでもらっているため、早期発注がかなり進んでいます。建設業界も今すごく良い感じで、この2業種が牽引しています。消費も少し伸びていますから景気が上向いているのは確かだという印象を持っています。
 ただ、労働力不足はどの業界でも言われていて、そのために賃金が上がっていますが、積極的に賃金、所得を上げているのではなく労働力を確保するために上げざるを得ないという状況で上がっている。そのため、企業の儲けにはつながっていないのもひとつの側面だと思います。

 ――バブルを懸念している人もいますが、その辺は注意すべきところもあるというお考えでしょうか。

 岩田 東京は完全にバブルを超えた価格になっています。札幌はそこまでいかないですが、ニセコは正直バブルだと思います。ニセコ以外の地方は上がっておらずむしろ下がっているところもある。両極に振れて良いところと悪いところがはっきりとしてきた感じを持ちます。

 ――札幌市内ではマンションにホテルの建設が目白押しです。完成するのは2~3年後で東京オリンピック・パラリンピックの年でそれ以降に完成する物件も数多い。

 岩田 ホテルとマンションで土地の取り合いをしている状況ですが、場所は中心部に限られていますしそれ以外の地域はあまり対象になっていない。少ないエリアの中で取り合いをしているに過ぎない。マンション価格もかなり上がってきてちょっと心配になってくる状況にはあります。ホテルは2020年までにインバウンド500万人が道の目標ですからまだまだ足りないのではないでしょうか。



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