北雄ラッキー(本社・札幌市)が10月に倶知安町に新規出店することから、同町での食品スーパー業界地図に異変が生じそうだ。現在、同町内にはJR駅に隣接したコープさっぽろと郊外のマックスバリュ北海道の2店舗が営業しているが、北雄ラッキーの店舗はその中間に立地する。倶知安町は、冬期にスキーを楽しむ外国人の長期滞在者が増える特徴があるほか、周辺町村から買い物客を集客するなど消費需要は底堅い。10月以降、年末商戦や外国人需要を当て込んだ3店のホットな戦いが繰り広げられそうだ。(写真上段左からマックスバリュ倶知安店とコープさっぽろ倶知安店。下段左から、北雄ラッキー倶知安店建設現場とコープさっぽろでの英語表記。いずれも2013年6月撮影)
 
 北雄ラッキーが進出するのは、元長崎屋の店舗が立地していた場所。長崎屋の跡に住友石炭系の「JOY」が居抜き出店、その後マックスバリュ北海道がJOYを合併して運営していたが昨年夏に閉店。
 
 土地建物を所有する地元の大雪閣は建物解体後に北雄ラッキーと契約、大雪閣が石山組に発注して新店舗を建設する。
 
 店舗の面積は960坪程度で、食品が500坪、衣料が150坪、100円ショップ100坪という構成。他に小規模なテナントが入居する予定。北雄ラッキーにとっては、岩内店(岩内町)以来、5年ぶり新規出店。
 
 昨年夏の「JOY」閉店以降は、コープさっぽろとマックスバリュが分け合う形で消費を取り込んでいる。マックスバリュはドラッグのツルハ、衣料のげんたろうが集積、隣接してホームセンターのホーマックも展開。一方のコープさっぽろは、直営の食品のほか衣料の三喜、書店などが展開する約1500坪の一体建物。
 
 コープさっぽろ倶知安店の年間売上高は直営の食品だけでも約27億円。流通関係者によると、「生協のドル箱と言われるほどで、店頭での見せ方や売り方は札幌市内コープ店舗と比べてもMD(マーチャンダイジング)力は高い」
 
 倶知安町は、人口1万5000人、7600世帯。冬期にはニセコのパウダースノーを求めてオーストラリアを中心に外国人が約7000人も長期滞在するほか常時滞在の外国人世帯も約300世帯にも及ぶ。
 
 コープさっぽろ倶知安店では、青果を中心に夏場でも英語表記を並列しており、品揃えと表記も売り上げ増を図る重要な要素になっている。
北雄ラッキーの川端敏社長は、「オーストラリア人な外国人をターゲットにした品揃えを今までと違ってやらなければならない。また倶知安町は力がある街で、京極、喜茂別、ニセコ、真狩、蘭越、留寿都などからお客を呼び込む大きな商圏がある。そういう需要も調べて品揃えを進めたい。特に期待されているのは魚だと思う。岩内店のような魚を倶知安でも品揃えしたい」と語っている。
 
 北雄ラッキーの新店建設現場は、まだ更地の状態。今後4ヵ月で真新しい建物が姿を現し、最需要期を迎える冬場に食品スーパー3店舗の商戦は一気に過熱することになりそうだ。


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