日本チェーンストア協会北海道支部(支部長・出戸信成マックスバリュ北海道社長)は17日、札幌市中央区のホテル札幌ガーデンパレスで2017年新春の講演会・懇親会を開催した。講演会ではデリカフーズ(本社・東京都足立区)のグループ企業、デザイナーフーズ(同・名古屋市千種区)取締役で管理栄養士の市野真理子氏が『これからの外食・小売業の店づくり』と題して話し、「食品スーパーは食で健康寿命を延ばす“食の薬局”を目指すべき」と訴えた。IMG_1351(写真は、講演する市野真理子氏)

 講演会には、同協会北海道支部会員など流通業界から約100人が出席して講演に耳を傾けた。市野氏は、2025年以降、団塊世代が75歳以上になる超高齢化社会のキーワードは、『サイコペニア肥満』だと述べ、「今はメタボという言葉が中心だが、今後は筋力低下を意味するサイコペニアが問題になってくる。さらに肥満が重なれば病気になって寝込むリスクは格段に上昇する。如何にサイコペニア肥満を防ぐかが重要で、最も良い方法は食の改善」と話した。

 18~70歳の成人男性は1日60gのたんぱく質の摂取が推奨されているが、卵1個のたんぱく質は10gなので、どうすれば肉、魚、卵で60gのたんぱく質を摂取できるか、その料理法などを提案することも小売業には必要になってくるとした。

 市村氏は、「カロリーが重要なのではなく、代謝が重要」だと語り、「代謝を促進するためにはビタミンとミネラルが不可欠。この二つがあると代謝が進んで糖が体の電池の役目をするように変化するが、代謝が低いと糖としてそのまま残って筋肉に溜まる。それがおへその周りで脂肪になってしまう。カロリーの栄養学ではなく、代謝機能を勘案した分子栄養学が求められている」と訴えた。

 食の最前線である食品スーパーの店頭で、従業員、パート職員が例えばかぼちゃの勧め方として、「カロチンはオリーブオイルやオメガ3脂肪酸の入ったオイルなどと一緒にすると吸収が良くなるなど、ちょっとした知識を会話で伝えることによってお客様の買い上げ点数も増えるだろう」と話した。
 そのうえで、「超高齢化社会で健康寿命を保つには、毎日の食事に少し気をつけるだけでも効果がある。食品スーパーはそういう意味での『食の薬局』を目指すことが今後の方向ではないか」と締めくくっていた。


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