セコマ(本社・札幌市中央区)は、2016年の政策説明会を15日に札幌市中央区の札幌パークホテルで開催した。メーカーや取引先のほか金融関係者などが出席、今年のセコマの経営戦略などを聞いた。冒頭、丸谷智保社長(61)が恒例のスピーチを30分間行った。その内容を3回に分けて掲載する。IMG_6714(写真は、丸谷智保社長)

 4月1日に社名を変更してセコマに変わった。店舗名はそのままセイコーマートを続けているが、当社は、生産・製造、物流、小売と垂直的な業態なので、さらにそれを発展させる意味を込め、社員のモチベーションアップや考え方を変えていくことを社名変更で示した。本州方面中心に北海道で製造した商品を売っており、そのブランドも『セコマ』に統一して販売していく。
 
 今年も半分が終わったが様々な変化があった。イギリスのEU離脱決定もそのひとつだが、メディアの情報だけで判断してはいけないことが良くわかった。私なりに見ると、選挙と同じで「安心したら負ける」ということ。「まさか離脱はないだろう」という安心感が重大な決定を導くことに繋がったのだろう。今後ヨーロッパがどう変化していくのか、現地のメディア情報だけでなく生の情報をもっと掴んでいかなければいけない。
  
 それでも、さすがイギリス人だと思ったのは、当社と取引のある現地の会社から離脱投票翌日にポンドが大幅安になったので何か買わないかとメールが来たこと。大混乱と思われる一方で商売のチャンスと捉えて売り込みをかけてくる。混乱はあるにせよ、あの国はバタバタしないと思った。
  
 コンビニエンス業界にも変化があった。セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が辞めたことだ。これは時代の象徴ではないかと思うが、こういうことも考えられないだろうか。そもそもコンビニチェーンとは何だろう。ものすごい数の店がチェーン化されているのがコンビニだが、一方でフランチャイズ(FC)チェーンでもある。FCのオーナーになりたいと手を上げると「セブンーイレブン」とか「ローソン」の看板が付く。そういうFC制度に沿ってわずか40年強で全国に6万軒に届こうとする大変なチェーンストア機構ができあがった。FC制度があったから社会インフラ化するほどの店舗数になったということだ。
  
 しかし40数年たってこのシステムはどうなってきたか。考えてみれば、FC制度の中でコンビニ本部の一番の根幹は、経営コンサルタント業であって小売業ではない。つまりFCオーナーを経営指導していくことがFC制度に則った本部の姿だ。主たる収入は、FCオーナーが稼いだ粗利から得るロイヤリティだ。 
 ところが昨今、このFC店舗の1店舗1店舗の粗利が、主として人件費の高騰、北海道では電気料金の高騰などによる営業経費増で少なくなっている。FC本部は隆々としているかもしれないが、傘下の1店舗1店舗はかなり弱体化しているのではないか。収益的にもそう思う。
  
 またFCオーナーの高齢化が進み、後継者がいないこと、新しく店を開くにしてもなかなかオーナー募集に人が集まらないことが挙げられる。高齢化したFCオーナーは24時間営業をするのが大変でモチベーション低下にも繋がっているのではないか。
鈴木会長の退任は、FC制度に則ったコンビニチェーン、コンビニ業界の40年をどう振り返って今後のチェーンの隆盛につなげていくか、その節目を示すものだったのではないか。
  
 ところで、北海道の最低賃金は、この10年で107円上がり今現在は764円。非常に急速な上昇だ。東京は907円、10年間で187円のアップ。アメリカ主要都市、ニューヨーク、ロサンゼルスのメトロポリタンエリアでは最低賃金は15ドル。サービス産業は世界的に人件費高騰に悩まされている。
 
 日本のコンビニ1店舗当たりの支持人口は、全国平均で2233人。コンビニはいろんな統計の取り方があるので様々だが、細かく拾うと店舗数で全国5万6~7千店舗になる。北海道で見ると、一番競争が激しい地域では1店舗当たり1753人で、3000店を超えるコンビニが北海道にはひしめいている。北海道だけではなく、全国を見ても明らかにオーバーストアではないかと思う。(以下、次回に続く)
※2016年7月25日記事一部訂正。北海道の現在の最低賃金は764円です。訂正させいたたたきます。
 

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