札幌証券取引所に重複上場している東証1部のアークス(本社・札幌市中央区)は24日、札証で個人投資家向け会社説明会を開催した。同社の横山清社長が業績の近況や成長戦略について1時間に亘って説明、個人株主ら約80人が熱心に聞き入った。以下、横山社長が話したエッセンスを紹介する。IMG_0045(写真は、札証の個人投資家向け会社説明会で話すアークス横山清社長)

「目立たないが、着実に変化しているのがアークスだ。各地域で27~30%のシェアを持っていると大手が進出してきてもそう怖くない。我々のような会社(アークスという持ち株会社を頂点に100%子会社の事業会社として各地域の食品スーパーがグループ形成している八ヶ岳連峰経営)はありそうでない。アークス設立13年が経つがグループ11社の中で『こんなはずじゃなかった』という会社は一つもない。大変うまくいっている」
 
「北海道には、長崎屋が最初に進出してその後、ダイエー、ヨーカ堂、西友、最後にイオンが進出してきたが、力を背景に相手を蹴散らして残存者利益を得ようとしても通じない。私がこの世界に入って54年と2週間だが、ようやくそのことが分かってきた。そのためにも自分たちの道をしっかりと極めていかないといけない。人間も企業も同じで、『変わらないために変わらなければならない』と思う」
 
「今期の売上高は5000億円を超えそうだが、10年後には1兆円をやろうとひた走っている。私は生きていなくても会社は生きている。社内では『トライ・ワン・トリリオン(1兆)』というフレーズでやっていこうと考えている。そのためにも、東北、北海道で積極的なM&Aを進める。ただし救済型ではない。今は良いが後継者難など人材不足の食品スーパーはある。元気なうちに手を組むことが将来的には地域のためになる。北海道では数社が候補だったが、2社は大手に付いた。まだ何社かは候補だ。東北では何社かが手を挙げている」
 
「買い物過疎地域への小型店は道北アークスの『ダ・マルシェ』を展開しており、今年は4店舗を道北に出した。畜産などのプロセスセンターを旭川に建設したのでこうした小型店の展開が可能になった。年間4~5店舗のペースで出店していく。当面は道北を想定しているが、道南でも実験してみる考えだ」
  
「しかし、小型店で利益を出し続けて行くのは難しい。過去にも様々な流通系企業が挑戦しては失敗してきた歴史がある。続けていくためにはもうひと変わりしなければならないだろう。イオンの『まいばすけっと』が先か我々が先か、小型店展開の大きな課題になる」
 
「年商100億円前後のSMから1000~2000億円クラスの食品スーパーは、全国に1300社ほどあって大手2社(イオン、セブン&アイ・ホールディングス)と繋がっているところもあるが、フリーハンドのところが3分の1くらいある。大手と繋がっているところは除いて我々のように1兆円の構想をもっているところが全国で3社ほどある。これで3兆円になり、大手2社と我々のようなグループが3社あるとすればそれで食品スーパーの7割くらいをカバーして新しい世界がまた出てくるだろう」
 


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