来年3月の北海道新幹線開業によって青函経済圏の活性化が期待される中、アークスグループの道南ラルズ(本社・函館市)は函館の地場スーパーとして地域色をより強化していく方向を打ち出している。6月には3回目となる青函フェアを実施、来春の開業に向けた機運の盛り上げにひと役買う。前回に続き土手光三社長(57)に今後の戦略を聞いた。IMG_4554【どて・こうぞう…1957年9月10日、室蘭市生まれ。大学卒業後、81年4月大丸スーパー(現アークス)入社。2002年11月ラルズ第2運営部ゼネラルマネジャー、03年12月道南ラルズ出向、04年2月取締役店舗運営部ゼネラルマネジャー、05年5月常務、09年8月専務を経て13年5月社長兼営業本部長。大丸スーパーが大卒定期採用を始めた81年の1期生】

 ――店舗で惣菜や水産品、畜産品を調理加工するインストアから外部で作るセンター化の動きが出ていますが、道南ラルズはどうですか。
 
 土手 現在はインストアと外部委託で対応しており、惣菜など一部は大型店を母店として各店に供給するようにしている。将来的にはセンター化する方向でインストアの調理加工比率を低くして店舗運営ができるようにしていく。人を募集しずらくなっておりインストア商品と外部で作る商品を分けて対応していきたい。
 
 ――惣菜などは売れ行きが良いそうですね。
 
 土手 店のパート従業員の販売指導やコミュニケーションを良くするために昨年からトレーナー制を導入したが、うまく機能している。店頭で売り方の工夫をしたり指導教育したりするもので昨年から本部スタッフとしてデリカと水産に1人ずつ配置した。これによって売れ行きが非常に良くなった。
  
 ――小型店に参入する考えはありますか。
 
 土手 当社にはセンターがなくコスト面で不利なので小型店展開は簡単にはいかない。小型店よりも現在の店舗エリアでのシェアを高めることに注力する。要は自分たちの強みを如何に作って行くかが大切。特化した形で地元商品を積極的に販売するとか、これまであまり売っていなかった商品をもっと売り込むなど地道なことが鍵を握る。
函館は行事催事を非常に大切にするマチなので行事催事の商品は良く売れる。そこにはこだわっていきたい。地域の良さをうまく発揮していけばお客に支持される。それを強みにしたい。
 
 ――店舗リニューアルの予定は?
 
 土手 昨年は、2月に本通店、10月に江差店のリニューアルを実施した。今のところ今年の予定はないが、衣料売場などを縮小して生鮮売場を広げたり休憩コーナーをつくったりするリニューアルは今後も継続して行う。当社には築20~30年の店舗が多いので一定の期間ごとにリニューアルをしていくことで対応したい。
 
 ――9月には道南地区のダイエー2店舗がイオンに転換しグルメシティの5店舗がマックスバリュに変わりますが道南のスーパー市場への影響をどう見ていますか。
 
 土手 一番影響が出てくるのは、販促が一本化されること。それによってエリアの力が発揮されると食品スーパー市場に影響がでてくるだろう。お客の印象も変わってくるかもしれない。ただ同質での価格競争になると全体が影響を受けることになる。
 
 ――北海道新幹線開業に向けてどんな役割をしていきますか。
 
 土手 北陸新幹線開業の様子を見て思うのは、現在私たちが感じている以上に一気に盛り上がるのではないか。全国的に注目を集める良いチャンスになると思う。青森の商品を紹介する青函フェアも6月には3回目を実施する。函館には青函という言葉が生きており青函経済圏の活性化に協力していきたい。(終わり)
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 道南ラルズがユニークショップつしまの19店舗を引き継いでから12年、5店舗閉店して3店舗を出店、売上高は140億円から215億円に増えた。道南地域の閉鎖された商圏ではあるものの北海道新幹線開業など経済活性化の期待も高く、アークス横山清社長はグループ内でとりわけ道南ラルズの成長に注目している。
 
 道南地区の流通環境は、ダイエーのイオン化によって変化していくと見られ、アークスグループ、魚長を含めたコープさっぽろグループ、マックスバリュ北海道とイオン北海道のイオングループが繰り広げる三つ巴の戦いはより激しくなることは間違いない。函館は地元意識が強いとされるだけに地場スーパーとして道南ラルズがさらに地域に浸透していくことが飛躍の条件になるだろう。

IMG_4560(昨年12月6日にオープンしたスーパーアークス大縄店)


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