(写真は、北海道建設新聞社本社)

 2012年には経営方針である「当社の方針」を改訂、3項目を示した。それは、《北海道を豊かにするために、時代の変革に即した地域経済、産業の専門報道に努める》、《社員の情熱と、想像力を結集して、誇りを持って成長する組織を目指す》、《地場企業の活力に繋がる情報を発信し、未来を拓くための羅針盤となる》ーーの3項目。
「建設業界に半世紀の間、育ててもらったのが当社。建設業を中核として北海道経済を元気にする新聞社として地域経済、地域産業を応援する。建設業のほか金融、商工業、医療ヘルスケア、水産業、農業、警備業など対象はあらゆる分野に及ぶ。各業界のニーズもそうだがウォンツを捉えた専門報道を心掛けている」と意気軒高。

 2年前には、モンゴルのモーニングニュースやロシア・ノヴォシビルスク州政府の子会社と提携、現地情報の提供を受けて紙面掲載も始めた。交流を深めることで、北海道や現地の企業が持つ寒冷地技術を仲介、ビジネスをマッチングさせるのが狙いだ。

 今年に入って「建新総合研究所」を新設した。荒木正芳前社長の肝煎りで設立したもので、社長には荒木氏が就任した。
「当社のノウハウ生かして周年企業の記念史、道の駅パンフレット、PR誌などを制作することに加えシンクタンク機能も付加する予定で、建設業の給与体制など道銀地域総合研究所とコラボしながら市場調査などを行いたい」
 さらに、日本不動産研究所と共同で各種の情報を電子地図上で共有する「eーkensinマップ」を開発、7月から同社のホームページ上で公開を始めた。10月からは有料のデジタル情報サービス「eーkensinプラス」として、過去の新聞情報や行政のニュース、建築確認申請、都市計画、地質情報も入れ、土地情報をワンストップで提供できるようにしたプラットフォームビジネスも展開する。目指すのは紙とデジタルの複合化だ。

 北海道建設新聞が建設業を中核としつつ北海道の経済・産業活性化に寄与するメディアにシフトしてきた原動力が小泉氏だった。時に異端児と言われ編集局内部でも抵抗があった諸問題を解決に導き、新たな専門新聞社のモデル構築の旗振り役を務めてきた。その流れからすれば満を持しての社長登板と言えそう。「変化に対応できたのは、創業者が印刷工場の自前化などしっかりとした組織をつくり盤石な経営方針を掲げたことが大きいと思う。そういう基礎の上に改訂した3項目の方針に沿って経営の舵取りを行っていきたい。社名は変えない。建設業にはこだわり続ける」

 札幌学院大学人文学部人間科学科卒業時に恩師から北海道の建設業界に深く食い込んでいる北海道建設新聞社の入社を薦められた。社会を知る一端になるとフィールドワークのつもりで入社したという。以来、編集一筋で37年目、同社の経営トップに上り詰めた。

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