北海道建設新聞社(本社・札幌市中央区)と北海道医療新聞社(同・同)は、6月14日付で「北海道産業メディア(HOKKAIDO・INDUSTRY・MEDIA=HIM)グループ」を結成した。北海道建設新聞社の100%出資子会社、北海道住宅産業新聞社(同・同)と住宅流通研究所(同・同)も参加、4社が持つ専門情報を協働して発信するとともに、ウェブ事業の共通化も進める。グループ代表には北海道建設新聞社の小泉昌弘社長が就いた。(写真は、北海道建設新聞社本社)

 北海道建設新聞社は、今年で創業64年になる日刊の「北海道建設新聞」を発行。建設業だけでなく、金融、不動産、観光、流通、警備など北海道の産業に関わる様々な情報を発信、購読部数は約9400部。従業員数は約150人、売上高は約13億円。北海道医療新聞社は、創業54年、道内唯一の医学、医療、医政専門紙「北海道医療新聞」をはじめ、介護情報に特化した「北海道介護新聞」、看護職を読者にする「ベストナース」、病院の紹介や健康を啓発する「ケア」などの専門媒体を発行している。従業員数は約30人。売上高は約3億円。

 紙媒体の購読数が減る中で、北海道建設新聞社はウェブ事業に10数年前から注力。デジタル情報サービス「e-kensinプラス」、電子地図上に土地や建物に関する情報を「見える化」した「e-kensinマップ」を開発、提供してきた。とりわけ注目を集めるようになったのが「e-kensinマップ」。一般財団法人日本不動産研究(本部・東京都港区)と2020年に共同開発したもので、建設、不動産に関わる専門情報を電子地図上に反映させ、物件の更新情報などを閲覧できる。また、札幌市と連携して同市の持つデジタルデータもこのマップに示すこともできる。この技術は、国土地理院の「地域貢献賞」を受賞した。
 今回、北海道建設新聞社が持つこうしたウェブ事業のノウハウを北海道医療新聞社に提供、同社の成長を後押しするとともに協働で事業展開を進める目的でHIMを結成することにした。これに合わせて北海道建設新聞社は、6月中に北海道医療新聞社の全株を取得、子会社化する。

 グループに入る北海道住宅産業新聞社は、創刊52年の歴史を持ち、北海道の不動産、住宅情報を発信する「北海道住宅産業新聞」を発行。住宅流通研究所は、38年の歴史を持ち、北海道の戸建て、マンション等の共同住宅動向を分析して企業、団体にデータ提供している。いずれも2019年11月に北海道建設新聞社が、全株を取得して子会社にした。HIMグループはこのデジタル技術と各紙の専門情報を生かし、地場企業の活力につながる情報を紙とウェブで発信していく。不動産流通研究所は既に東京に拠点を開設しており、「e-kensinマップ」の首都圏展開も視野に入れる。北海道建設新聞社は新たに経営企画室を置き、グループ経営を進める。同社の小泉社長は、「北海道を豊かにするため、時代の変革に即した地域経済産業の専門報道に努め、地場企業の活力に繋がる情報を発信していくためにグループを結成した」と話している。


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