ダイビル(本社・大阪市北区)は2023年10月6日、札幌市東区モエレ沼公園ガラスのピラミッド内で、同市中央区の商業施設「PIVOT」跡地で進める、再開発プロジェクトの概要を発表した。プロジェクト名は、「札幌ダイビル再開発プロジェクト」。同社の丸山卓社長は、この日、集まった報道関係者約50人を前にプロジェクトの概要を自らプレゼンテーションした。その全容を2回に分けて掲載する。
(写真は、再開発で誕生する札幌ダイビルの外観パースとメインエントランス=いずれも南東側)
(写真は、「札幌ダイビル再開発プロジェクト」を発表するダイビル・丸山卓社長)

「ダイビルは、貸しビル業が主体の会社で、年商は約420億円。大阪、東京に続く3拠点目として2019年11月に『PIVOT』など3棟を取得、札幌に進出した。札幌を選んだ理由の一つは、地震や台風が少なく、地球温暖化で札幌のポテンシャルが高まると判断したことがある。北海道新幹線札幌延伸や札幌五輪も考慮した。また、北海道には稀有な観光資源があり、アジアのみならず欧米の観光客も増えておりポテンシャルは高い。不動産市場を見ると、空室率が低く、オフィス需要が見込める。さらに1972年の札幌五輪当時の建物が多く、建て替え時期を迎えて、再開発の機運が高まっていることもあった。その後、次世代半導体製造のラピダス進出が決まったことも、札幌のマーケットにポジティブな影響を与えると期待している」

「今回のプロジェクトの敷地は、約1000坪で駅前通、地下街に直結している好立地。今までにない、ここにしかない建物を造って、札幌の街に新しい風を吹き込めたらいいな、というのが私たちの思いだ」

 プロジェクトの概要は次の通り。敷地面積約954坪(約3150㎡)、地下2階、地上19階、高さは98・3m。地下2階から2階が商業施設(約1515坪=約5000㎡)、3階から8階がオフィス(約5757坪=約1万9000㎡)、10階から18階がホテル(約4848坪=約1万6000㎡)、全体の延べ床面積は約1万2727坪(約4万2000㎡)。2023年6月から既存建物の解体工事に入っており、2024年6月から新築工事に着手、2027年1月末に竣工予定。事業費は非公表。

「跡地に、ホテル、オフィス、商業の要素を合わせた複合ビルを2027年1月末に竣工させる。地上19階建て、地下2階から2階までが商業店舗、3階から8階がオフィス、10階から18階がホテル。地下街ポールタウンとは、地下2階で接続し、地下2階には、市民が気軽に利用できる共用空間を計画している」

「駅前通に面した商業施設には、ハイブランドショップ、最先端ショールームを並べ、魅力的で華やかな路面店を揃える。エリアの新たなランドマークとなるホテルのエントランスは、敷地南側の南2条通に配置する。メインエントランスは、吹き抜けにして南2条通と駅前通の角地を使う。北側の通称オヨヨ通りは70年代から80年代にかけて、ジャズ喫茶など尖った店舗のある面白い通りだった。そういったものを復活させ、歴史を継承・発展させるような場をつくる」

「上層階のホテルは、単なる宿泊特化型ではなく、エリアのランドマークになるように宿泊客だけでなく、地元の方々にも楽しんでいただけるような地域に賑わいをもたらすホテルに焦点を絞って誘致した。道内初進出のラグジュアリーホテルが入る」(後半に詳細記述)

「中層階のオフィスは、当社が100年のキャリアを生かして取り組む。基準階は600坪以上で、ダイビルが持っている他のビルと比べても最大規模。区割りして、小口テナントにも対応できるるようにする。ビルは、再生可能エネルギー100%を使い、環境指標のZEBオリエンテッドも取得する。シェアオフィス、コワーキングプレイスもつくり、交流拠点も計画している」

「以前は、この地域にはオフィスビルがなかった。オフィス需要はあるのか、と思われるかもしれないが、我々の感覚では、必ずできると思っている。我々のチャレンジングな取り組みが、エリアを少しずつ変えていくことになると自負している」

「オヨヨ通りの再生、復活のために、商業フロアには地元の人々による感度の高い小さな店の集積を目指す。入り組んだ路地裏的な階を用意して、意欲があるが資力が乏しいような若手料理人が出店できるようにする。食だけでなく、アートや音楽の発表が行える場をつくり、地域のさまざまな文化の発信拠点となるようなエリアもつくる」

「外観は、上層部のホテル部分は重厚感のある格子状デザイン、低層部の商業階はブランドの邪魔をしないようなデザイン、中層部のオフィス階は上層階の格子に対抗するように、縦基調のデザインにしてメリハリをつける」

「本プロジェクトに最も重要なホテルのブランドは、テイクアンドギヴ・ニーズ(本社・東京都品川区)の『TRUNK(トランク)ホテル』。ウエディング事業で国内大手のテイクアンドギブ・ニーズが手掛けるラグジュアリーブティックホテルが入る。同社は2017年に東京渋谷神宮前に1店舗目をオープンさせ、本年9月に代々木公園にも新しいホテルをオープンさせており、今、ホテル業界で最も注目度の高いホテルの一つだ」(以下、次回に続く)


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