札幌駅前通の商業ビル「PIVOT(ピヴォ)」が、2023年5月16日に27年間の営業を終了した。この日、閉館時間の20時に合わせて、1階フロア内で閉館セレモニーが行われ、多くの人が「PIVOT」の最後を見送った。昨年1月の「4丁目プラザ」に続き、駅前通の商業ビルが姿を消した。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。

(写真は、閉館セレモ―で最後の別れをするPIVOT関係者)

「PIVOT」は、中心街ビル(札幌市中央区)が1969年に建設したビルで、「中心街デパート」の名前で開業。1973年には旧ダイエーの北海道1号店が入り、ダイエーの道内展開のさきがけになった。1993年にダイエーが撤退、1995年9月に、書籍、音楽、雑貨、ファッションの「PIVOT」として生まれ変わった。地下3階、地上9階建て、延べ床面積約6296坪(2万814㎡)。

 土地建物の所有者は、2019年11月に中心街ビルから大阪の老舗オフィス・商業施設賃貸業のダイビル(本社・大阪市北区)に変わり、中心街ビルは運営に特化、ピヴォとして再スタートした。ダイビルは、隣接する「ペンタグラムビル」、「桂和MTビル」も取得したが、いずれのビルも老朽化が進んでいることから、一体的な建て替えを行うため、「PIVOT」を今年5月16日に閉館させ、他のビルも10月に閉館させることを決めていた。

(写真は、テナント代表として挨拶するピーチジョン・加藤知枝執行役員)
(写真は、閉館の挨拶をする丹内大博館長)

 直近のテナントは、「ユニクロ」や「ジーユー」、「札幌スポーツ館」、「ダイソー」など約50で、3月17日から閉館セールを実施。最終日は、最大9割引きを行うテナントもあって、別れを惜しむ買い物客が多く訪れた。

 閉館セレモニーでは、最初にテナント代表として女性向けランジェリー、ルームウェア、ボディケアコスメブランドでワコールホールディングス(本社・京都市南区)の子会社ピーチジョン(東京本社・東京都港区)の加藤知枝執行役員が登壇。「2000年8月、PIVOTに道内初出店して23年間営業してきた。閉館はとても寂しいが、来月、南1西2に新生PIVOT(PIVOT CROSS)として再出発するのを楽しみにしている」と挨拶した。

 続いてさっぽろ東急出身の丹内大博(たんない・ともひろ)館長が登壇。「PIVOTは1995年9月14日にオープンしたが、私はその半年前から開業準備に携わってきた。オープン前日は、お客さまに来ていただけるのか心配で、寝ることができなかった。しかし、当日は駅前通に300人以上のお客さまが並び、道路が見えないほど。涙が出るくらいうれしかった。あれから27年と8ヵ月、ビルの老朽化で閉館することになった。今までご愛顧いただきありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。

 その後、運営会社ピヴォの小田征洋社長、丹内館長、インフォメーションの女性2人が頭を下げて最後の別れを行うと、6月8日にオープンする「PIVOT CROSS」の垂れ幕が現れ、新たなスタートも予告した。
(写真は、閉館の最後に吊り下げられた「PIVOT CROSS」オープンを予告する幕)
(閉館後も多くの人が別れを惜しんだ=写真)


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