イオン北海道・小寺博之新社長インタビュー「4業態の強さを再構築」「GMSを地域のインフラにする」「トライアルやドンキとの戦い方」

流通

 ――節約志向をどう体感していますか。

 小寺 客単価は、これだけインフレで物価高になっているにもかかわらず上昇していません。お客さまが買い上げ点数を減らしていることや、使えるお金を考えて買い物をされていることを強く感じます。

 ――客数はどうですか。

 小寺 客数は前期から徐々に下がっています。私たちが、新中期計画として考えていた数字には至っていません。至っていないのは、私たちの取り組みが弱いところもあるし、お客さまの意識が変わってきたという両方の要因があると思います。

 ――イオンPB(プライベートブランド)の「トップバリュ」は価格凍結宣言をしました。

 小寺 イオンPBの「トップバリュ」は価格凍結宣言をして、3500品目について2026年8月31日まで実施しています。その効果は大きいですね。対象の商品はよく伸びています。

 ――GMS(総合スーパー)、SM(スーパーマーケット)、DS(ディスカウントストア)など多様な業態を持つ強みと弱みは。

 小寺 GMS、SM、DS、小型食品スーパーの「まいばすけっと」というようなマルチフォーマット業態を持つ強みは、広い北海道の中で地域ごとにお客さまに最適な業態を選択して提供できることにあります。複数の業態を組み合わせて、エリアの中で最適な状況をつくることもできます。4業態以外にネットスーパーも展開しているため、店舗がないエリアでも対応できます。

 一方で課題は、一つの企業で運営しているため、各業態の同質化という点があります。お客さまの目から見て、「イオン」に行っても「マックスバュ」に行っても、同じ売り場で変わり映えがしないというところです。効率を考えれば、どうしても最大公約数の売り場になってしまう。同質化の問題が、前中期計画の後半から出てきていました。新中期計画では、同質化からそれぞれの業態をどう進化させるのかが、一つのポイントになっています。

 ――売り場の同質化とは。

 小寺 お客さまがGMSとSMに求めるものがそれぞれ違うと思いますが、商品、売り場、働き方、従業員の認識も同じようになってきていました。「イオン」が「マックスバリュ」に徐々に寄り出し、「マックスバリュ」が徐々に「イオン」に寄り出していました。お客さまから見ると、売り場が大きい、小さいという程度の違いになりつつありました。

 本来、GMSなら価格が安い商品もあれば、比較的高価格で差別化できる商品もあるという特徴がありますが、人の採用が難しくなって効率化を求めると、どうしても同じような運営になっていきます。

 ――新中期計画では、それぞれの業態を進化させていくと。

 小寺 本来の強み、役割を明確にしたい。GMSの売り場は面積が大きく、お客さまが買い物をする楽しさがなければなりません。SMは、家から近くて日々利用する利便性が必要です。DSは、地域で圧倒的、絶対的な安さを提供することです。3つの業態の役割を磨くことが、強みに繋がると思います。

 店舗の作業などを効率化、標準化していける部分もあります。前中期計画ではGMSもSMも一つの組織にしていました。元々、GMSの企業(旧イオン北海道)とSMの企業(旧マックスバリュ北海道)が統合したので、一緒にすることによって従業員の意識を一体化していこうという目的があったからです。その目的は、ある程度果たしました。一方で同質化が進んできたので、今年度からGMSとSMに執行役員をそれぞれ配置して、指揮を分けることにしました。それぞれの強みを、もう一度しっかりつくっていきます。

1 2 3 4

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER