サツドラPB改革が目指す新たな価値、「ここちよさ」×「北海道らしさ」

流通

 ――48万本とはどれくらいの規模ですか。

 大江 牛乳の売り上げは、倍近くになりました。これだけ売れると、今まで扱っていた既存の牛乳などが減る不安がありましたが、実際に販売データを見ると、全くそんなことはなく、今までサツドラで牛乳を買っていなかったお客さま1万人が、新しいお客さまとして購入いただきました。そのことによって客数増にも繋がりました。

 ――朝食メニューに対して夜のメニューのPBはありますか。

 大江 今回のPBコンセプトは、「ここちよさ」×「北海道らしさ」と設定しました。「ここちよさ」という心理的な要素を重視した背景には、私が25年ぶりに北海道へ戻り、改めて「北海道の冬の厳しさ」と「冬の夜の長さ」を実感したことがあります。そんな長く厳しい冬の夜をここちよく過ごすための商品を作ろうと開発メンバーと討論した結果の商品が、おつまみとお酒でした。

 サツドラの店舗は、酒類の売り場が広く、品揃えも豊富ですが、お客さまからは「おつまみが少ない」という声をよくいただいていました。そのため、まずはPBのおつまみ開発からスタートし、その自然な流れとして「お酒も一緒に」と自社開発へと歩みを進めました。

 しかし、いざお酒を開発するとなると、社内からは「大手メーカーがCM宣伝費をかけてビールやチューハイなどを展開している中で、我々がPBのお酒を作っても絶対に売れない」と厳しい反対意見が多く寄せられました。それに対し、私は「新しい価値提案次第では、十分可能性があるのでは」と説得し、開発を推し進めました。

 そうして誕生したのが、『クラフトチューハイ』(税抜き199円)です。開発にあたって、既存のチューハイとの明確な差別化とコストコントロールの観点から、あえて「瓶詰め」を採用しました。アルミ缶は、包材の最小ロットが大きくコストが見合いませんが、既製品の瓶を使用すれば製造数に応じて調達でき、蓋とラベルを変えるだけで済むため、事業リスクを大幅に抑えることができます。価格設定についても、400円~500円という高価格帯では日常的に手に取っていただくのが難しいため、200円以下という価格にこだわりました。

 中身については、余市産の「ブドウ」「なし」「リンゴ」を原料とした果汁入りとし、アルコール度数は、低めの3%に設定しています。果汁の自然な甘さを生かしているため、お酒があまり飲めない方や女性をメインターゲットとして、多くの方に楽しんでいただける商品に仕上がっています。

 今後は、夏場に向けたフレーバー商品に変更して、『余市の梅チューハイ』『瀬戸内レモンとオホーツクの塩で作った塩レモンチューハイ』『北海道の乳を使った白いチューハイ』を発売します。

 ――『ふぁしろ食パン』の売れ行きも良いようです。

 大江 はい。『ふぁしろ食パン』(税抜き155円、サツドラ公式アプリ限定価格145円)は、その名の通り「ふわっと」して「白い」のが最大の特徴です。開発のきっかけは、「子どもが食パンの耳を残してしまう」というお客さまの日常的なお悩みでした。耳を残す原因は「硬さ」にあると考え、なんとか耳まで柔らかくできないかと製造業者と協議を重ねました。その結果、低温で時間をかけてじっくりと焼き上げる製法に行き着き、耳まで柔らかい食パンを実現することができました。

 原材料の構成についても、あえて引き算の戦略をとっています。以前、大手コンビニエンスストアが展開したリッチな食パンがブームになりましたが、油脂や牛乳、生クリームをふんだんに使ったパンは、確かにおいしいものの「毎日食べ続ける」には少し重たい側面があります。そこで『ふぁしろ食パン』は、油脂を最小限に抑え、味を尖らせすぎないシンプルな配合にしました。北海道産小麦を一部使用し、ルヴァン発酵種を採用するなど、こだわりの要素も入れていますが、商品の最大の特徴は原材料そのものよりも、「低温・長時間の焼成」という製法によって生み出されています。

 この製法は生産効率が落ちるため、本来はコスト増に繋がりますが、油脂などの副材料を減らしたことでコストを相殺し、毎日お買い求めいただきやすい価格に抑えることができました。おかげさまで売れ行きは予想を上回り、1日に約3千個を販売しています。さらにうれしいことに、既存のパンの売り上げを奪う(カニバリゼーションを起こす)ことなく、食パンカテゴリー全体の売り上げを底上げすることに繋がっています。

 ――今後のPB商品のターゲットは何でしょうか。

 大江 現在開発を進めている商品は60アイテム前後あります。フードだけではなく、日用消耗品、サプリ、コスメも開発を進めています。サツドラがPB開発を進める上で、独自の提供価値がある商品を一つでも多く生み出していきます。「サツドラのこの商品」とお客さまが目的にして買いに来ていただけるPBを今後も発売していきたいと考えています。(終わり)

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