アークス(本社・札幌市中央区)の子会社福原(同・帯広市)は、2002年11月にアークスが結成された際、ラルズ(同・札幌市中央区)と並ぶ初期メンバーで、その後のアークスの成長を支えてきた。結成から20年、福原は十勝圏、釧路・根室圏の食インフラには欠かせない食品スーパーとして存在感をますます高めている。今期は惣菜事業を展開していた道東ライス(同・帯広市)の事業を譲受、店舗バックヤード業務の負担を軽減、生産効率向上を目指したセンター化にも着手する。福原郁治社長に、道東ライス買収の狙いやアークス結成20年を振り返ってもらった。
〈ふくはら・いくはる〉1967年9月生まれ。1995年9月福原入社、1999年1月同社経営企画室課長、2002年11月アークスに出向し経営企画グループマネジャー、2005年6月経営企画グループゼネラルマネジャーを経て2006年5月福原取締役、2009年5月同社常務取締役商品部長、2009年9月同社常務取締役店舗運営部長、2013年5月同社代表取締役社長就任。同年同月アークス取締役執行役員就任。

 ーー2022年2月期決算を振り返ってください。

 福原 売上高422億2500万円、経常利益13億3700万円の減収減益(2021年2月期比2・6%の減収、28・4%の経常減益)になり、厳しい決算になりました。コロナ2年目ということもあって前期の反動もあった。札幌圏では第5波や第6波で巣ごもり需要もあったと思いますが、当社の店舗がある地方では、それほど巣ごもり需要は増えなかった。それでも、コロナ前の2020年2月期と比べると、少しですが増収増益になっています。

 ――福原の店舗がある十勝圏と釧路・根室圏の消費環境は。

 福原 コロナに対する備えは、釧路・根室圏の方が慎重だったと思います。昨年12月に釧根地区の郡部の店舗に行った際、その店舗があるマチではコロナが発生していなかったこともあって、釧路市内に行かず地元で買い物をする傾向が強いことを知りました。昨年12月でもそうした状況でした。一方、十勝圏ではあまりそのような傾向は見られず、帯広市と周辺の往来は比較的多かったようです。競争環境という面では、ダイイチがコンスタントに店舗改装を始めていること、今年秋にイオン北海道が河東郡音更町に新規出店すること、トライアルも幕別町に土地を手当てして2店舗目をうかがう情勢という話も流れており、競争は一段と激化していく環境です。一方で、釧路市内の地場スーパー2店舗が閉店したことに加え、「エーコープ食彩館432」(上川郡清水町)が昨年2月、「エーコープうらほろ店」(十勝郡浦幌町)が今年2月にそれぞれ閉店しました。大型店の出店と小型店の撤退という状況が、今後も続きそうです。

 ――2023年2月期の店舗投資などは。

 福原 新店は今のところ予定していません。改装は3店舗で、「大樹店」(広尾郡大樹町、5月27日リニューアルオープン)と7月に「桂木店」(釧路郡釧路町)、10月に「ビッグハウス中標津店」(標津郡中標津町)を改装します。「ビッグハウス中標津店」は、「スーパーアークス」に業態転換することになりそうです。今期は、食創(本社・帯広市)の子会社、道東ライス(同・同)を事業譲受して、「ハピネスデリカ」に名称変更、運営を始めます。「ハピネスデリカ」の名称は当社のコーポレートメッセージである「Make Happiness!」から引用しました。「福原」や「アークス」の冠を入れた方が良いという話もありましたが、道東ライスは当社以外のスーパーにも一部商品を出荷しているので、「ハピネスデリカ」と中立的な印象の名前にしました。

 ――4月1日付けで「生鮮食品センター部」を新設しましたが、道東ライスの事業譲受はその一貫ですか。

 福原 店舗のバックヤードで惣菜などを生産する方式では、現場のコストダウンに限界がきています。また、年々働く人も集めにくくなっています。人口が減っていく中で、売り上げが頭打ちになっていくことが予想されるため、惣菜や精肉、水産の生産を集約化しなければならないと以前から考えていました。このため、2年ほど前まで、青果などの通過型倉庫として使っていた本社に隣接する建物を、魚や肉を加工をするプロセスセンターにしようと考えていました。そうした中で、道東ライスの話が浮上しました。
 道東ライスは、コロナの影響もあって経営が厳しかったようです。当社も道東ライスから商品を仕入れていたので、仕入れ条件の変更などの申し入れを話し合っているうちに、当社で事業をまるごと譲り受けることになりました。道東ライスの工場操業が停止したら職を失う従業員も出てきますから、雇用維持ということもあって引き継ぐことにしました。本格的に当社の工場として稼働するのは、この秋からになります。



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