ーー今年秋にオープンする「平岸店」(札幌市豊平区)は、どういう店になりますか。

 若園 規模的には900坪(3000㎡)以下の店舗面積になるため、当社の最新大型店舗のフォーマットは採用できず、食品に特化する店舗になります。多くの関係者から「立地的に良い場所」と言われるので、逆に私は要注意だと思っています。もちろん集客できる立地ではありますが、生鮮、惣菜、日配で、きちんとお客さまを引っ張れるように品揃えや商品力を高めないといけない。札幌のお客さまは商品に厳しい目を持っていると思いますし、スーパーはたくさんありますから、当社の特徴をどうやって出していくかだと思います。
 「八軒店」を出したとき、『食の宝庫の十勝から出てきたダイイチです』というメッセージを打ち出しました。それは今でも継承すべきだと思いますし、差別化に繋がるでしょう。『ダイイチのおはぎはおいしい』と言っていただいているようですが、そういう商品がさらにもう一品、もう一品と出てくるようにしたい。

 ーー店舗リニューアルについての考え方は。

 若園 今年7月に「八軒店」と「旭町店」(旭川市)をリニューアルしました。冷媒ガスの切り替えや冷ケースの交換を行いながら、商品力の強化を図りました。什器を低くして開放感を出したり、通路幅を広げたりして、惣菜、日配の回遊性を高めました。青果ではサラダの強化も行いました。生鮮と惣菜をどう強化していくかは、これからも果てしない課題として続くのではないでしょうか。清潔感のある店にすることも大切です。22年9月期は、帯広と旭川で各1店舗のリニューアルを計画しています。これで既存店の見直しは、一巡することになります。

 ーーコロナ禍の販売戦略はいかがですか。

 若園 当初の見込みならコロナが収束している時期なのに、まだまだ感染が拡大しており、先が見えない状況が続いています。コロナ禍で巣ごもり消費、内食需要が増えている傾向は続いていますが、家庭で毎日同じメニューというわけにはいきません。家庭での食事は、健康や栄養バランスを考慮していると思います。料理を作る人の負担が大きくなっていることを考えると、もう一品カスタマイズするための商品や簡便・即食でも栄養価が高くてバランスの良い食事を提供していけるようサポートしていくことが求められます。
 当社は、生鮮と惣菜、日配部門で成長してきた食品スーパーですから、ここにもっともっと力を入れていきたい。もちろん、量目をニーズに合わせて、適量販売をしっかりとやることで機会損失も防ぎます。こういうところには、パートナーさんの声が限りなく大切だと認識しています。

 ーー「平岸店」以降の新規出店については。

 若園 基本は札幌圏での出店を考えています。旭川については1~2店舗の出店余地があると思いますが、十勝圏の出店は限りなく厳しい。とはいうものの、各圏域ともに、良い立地はほとんど残っていないので、リプレースで活性化を図っていくことも大切になります。土地形状も違うし、マーケットの世帯数、人口も違うので、マーケットに合わせたサイズの店舗をつくり込んでいかなければならなくなっています。新たな店舗フォーマットの研究をして、マーケットサイズに合った店舗を出していけるようにしたい。これからも先が読めない厳しい状況が続きますが、従業員と一緒になって前へ、前へと進んでいきます。

 ーー同業者や異業種の連携、M&Aについての考えは。

 若園 お互いの理念が共有できることが大前提ですが、当社はM&Aを含めて年間売上高1000億円を目指すことを数年前に公表しています。基本的には、お互いに高め合えるような相手であることが条件になりますね。ただ飲み込まれることだけは避けたい。
 ーー本日はありがとうございました。



22人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。