ダイイチ若園清社長インタビュー「コロナ禍の販売戦略・イトーヨーカ堂との新しい関係・出店戦略」

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 コロナ禍で先が見通せない状況が続いている。生活に欠かせない食品スーパーも、昨年の内食需要が一巡、各社とも新たな浮揚策を熟考中だ。ダイイチ(本社・帯広市)は、昨年11月に9年間務めた鈴木達雄社長(74)が退任、新たに若園清専務(68)が社長に就任した。若園氏は2016年から代表権を持つ専務として鈴木社長を支えてきた。「当社63年の歴史をしっかり継承していく」と若園氏は強調する。先人の足跡を忘れず資本・業務提携しているイトーヨーカ堂(同・東京都千代田区)との関係をどう構築して温故知新のニューウェーブをどう創っていくのか。若園社長にインタビューした。
(わかぞの・きよし)1952年12月生まれ、68歳。明治大学業後、76年4月国分入社、79年4月ダイイチ入社。88年11月帯広店舗運営部長、91年11月取締役、98年12月常務取締役開発企画担当、2008年12月専務取締役開発企画兼総務担当、14年4月専務取締役開発企画兼教育担当、14年9月専務取締役販売本部長、16年12月代表取締役専務販売本部長、17年3月代表取締役専務開発企画本部長、19年5月代表取締役専務総務担当、20年11月代表取締役社長。

 ーー2020年11月5日の就任から8ヵ月が経ちましたが、あらためて就任の抱負を聞かせてください。

 若園 ダイイチは今年で設立63年になりますが、今日まで歴史のたすきを繋いできたのは、創業時に苦労した諸先輩や従業員がいたこと、ご愛顧いただいたお客さまがいたからです。この間に、帯広から旭川、札幌へと新たな商圏を求めて店舗網を広げていきましたが、私はそうした歴史をしっかりと継承していかなければならないと思っています。63年間、歴代のトップや従業員が堅実に働いてくれました。その重みをひと時も忘れてはいけない。
 私たちを取り巻く環境は、かつてなく変化しています。食品衛生、働き方改革、コンプライアンスなど、本当に脇を締めてしっかりと対応しなければいけない課題が多くあります。もちろん商いがあってのことですが、今一度、社会が求めていることをしっかりと理解して取り組んでいきたい。
 これまでの慣習、慣例だけではやっていけないのは、明らかです。働き方改革を含めた福利厚生の充実、過重労働からの脱却、有給休暇取得の推進などに対応していきます。人事考課制度の改訂を行い、従業員が目標を持って挑戦した結果として評価が得られる制度に切り替えます。この新しい人事考課制度を、2022年9月期からスタートさせたい。

 ーー店づくりについての考えは。

 若園 店づくりについては、これまでも地域に根差した展開を行ってきたので、今後もその地域、その地域でしっかりとしたナンバーワンの店づくりをしていきます。パートナーやアルバイトを含む従業員全員を対象に30年以上、社内勉強会を続けてきました。この1年間はコロナで休んでいますが、今後も社内勉強会を推進して人づくりを進めます。もちろん、コア商品もしっかりと育てていきます。当社の成長戦略は、出店戦略と人材育成、商品開発ですが、これらのレベルを絶えず引き上げて、バランスよく実行していかなければなりません。

 ーー若園社長は、店舗開発が長かったのでしょうか。

 若園 副店長、店長を10年経験して販売を6年半、それから店舗開発を20年以上担当していました。今のダイイチの22店舗中20店舗をゼロから手掛けました。リース物件は20年契約を基本に借りていますが、20年で閉店したのは1店舗だけです。中途解約もほとんどありません。

 ーーコロナ禍での人材採用は厳しかったのでしょうか。

 若園 人材採用については、コロナ禍だからこそ新たな局面を迎えました。今までは、就職サイトが運営する大規模な会社説明会に参加したり、単独で説明会を開催したりしていました。しかし、コロナ禍でこうした対面の説明会ができなくなった。というわけで、昨年は手づくりのWEB会社説明会などを行いました。そうすると、これまでにはなかった本州からの応募者が増えたのです。もちろん、Uターン学生の応募は今までもありましたが、北海道にはまったく縁がないのにIターンで北海道で働きたいという学生の応募もありました。留学生もWEB説明会に参加するなど私たちもびっくりするような動きでした。今年度は、Iターンの学生1人を採用しましたが、彼は非常にバイタリティーがあると感じています。その新人は、大学時代に北海道に旅行で来て、特に十勝に魅力を感じたということですが、私は大変うれしく思いました。

 今年度は、26人を採用しましたが、当社のマンパワーはまだ足りないので、適正人員に持っていくため今後も採用を強化していきます。30代の中堅どころの経験者も数名入ってきていますから、新卒採用、中途採用、パートナー・アルバイトの採用を進めて、マンパワーの強化に繋げていきたい。こうしたことに加えて、会社内部の意思疎通をもっとスムーズにできるようにしたいですね。わがままな話でなければ意見具申は大いに期待したい。いずれにしても風通しの良い社風にしていきます。

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