ーー資本業務提携しているイトーヨーカ堂との関係はどう変化しますか。

 若園 イトーヨーカ堂との資本業務提携によって、当社にはシナジー効果が出ていると思います。今後は、イトーヨーカ堂にとって、どこまでプラスになることを当社ができるか、ということになると思います。正直言うと、なかなか貢献できていないのかなと思う。ただ、チラシの共同販促については、互いに効果が出ていることを確認し合っています。

 ーー提携強化、協業の取り組みは。

 若園 販促については、今の取り組みを強化していけば良いのではないかと考えていますが、イトーヨーカ堂が持っているノウハウがまだまだあるので、当社はそれを吸収していきたい。例えば、働き方改革とかコンプライアンスです。当社はまだまだイトーヨーカ堂のレベルに達していませんから、積極的に取り入れたい。
 セブン&アイ・ホールディングスのPB(プライベートブランド)「セブンプレミアム」については、大いに活用させてもらっており、当社の大きな武器になっています。電子マネー「nanaco」の利用も当社「フレカ」との併用の中で進んできています。ただ、イトーヨーカ堂のようなGMS(総合スーパー)と、私たちのようなSM(食品スーパー)の連携はどこまでできるのか、正直、未知数の中で今日に至っているのが実情です。私は、基本的には人と商品の連携だと考えていますが……。

 ーーところで「イトーヨーカドー旭川店」が5月9日に閉店しました。共同販促の効果が上がらなかったのでしょうか。

 若園 「イトーヨーカドー旭川店」は、当社で引き受けることができませんでした。店舗が大きすぎることとマーケットの状況から判断したことです。私たちも、マーケットリサーチをしましたが、当社の中規模クラスの店舗の売り上げしか見込めなかった。GMSでフルラインだからヨーカドーは一定程度の売り上げを確保できたのであって、仮に当社が引き受けても機能しないだろうとの結論になりました。GMSとSMとの違いは避けられません。ハード面でも、自走式の駐車場などはオープン当時には受け入れられましたが、なかなか今の時代には合わなくなっていますから。
 当社とイトーヨーカ堂では、共同商品の販売や情報共有は行っていますが、まだまだできていない部分があります。イトーヨーカ堂の品質管理は非常に高いレベルのため、当社が仕入れた地場の商品をたくさん供給しようとなったとき、イトーヨーカ堂の品質管理のハードルを超えるのに時間がかかります。地場商品はタイムリーさが要求されるので、なかなか相互供給が進んでいないのが実情です。

 ーー北海道の「イトーヨーカドー」店舗の食品売り場をダイイチがオペレーションする方向はありますか。

 若園 それはイトーヨーカ堂がどう考えるかです。イトーヨーカ堂にとっても、北海道戦略は重要だと思います。首都圏に資源を集中していくというパブリックコメントが出ていたと思いますが、その中で、北海道をどう捉え直していくか。「イトーヨーカドー」道内店舗の食品売り場を当社がオペレーションする話は、以前はあったと思いますが、今現在は具体的にはありません。イトーヨーカ堂がこの先、どのように北海道戦略を考えていくかによるでしょう。

 ーー十勝圏、旭川圏、札幌圏という珍しい三圏域の店舗展開ですが、飛び地で運営していくことの課題はありますか。

 若園 昭和33年に北海道で最初のセルフサービスのスーパーマーケットを帯広に出店したのが、当社の出発点です。5年後の昭和38年には旭川に進出しました。その時の2代目の社長は、旭川の出身で非常に温厚な人格者でした。本人が希望したのか、旭川の経済界から要望されたのかは分かりませんが、旭川に進出しました。進出してから30年くらいは、帯広と旭川で両方の売り上げが良かったことはあまりなかったそうです。帯広が良ければ、旭川が悪かった。旭川に進出した当初は、帯広から資金を持って行き、埋めていたことを先輩から聞いたことがあります。十勝圏、旭川圏も出店の余地が段々と少なくなってきたので、今から17年前に「八軒店」(札幌市西区)を出店、札幌に進出しました。

 ーー札幌圏の店舗は順調ですね。

 若園 札幌圏に限らず新規出店については、何回も立地調査します。その結果として二十四条通と新川通の交差点に「八軒店」、白石神社の近くに「白石神社前店」(札幌市白石区)、JR発寒中央駅の駅前に「発寒中央駅前店」(同市西区)、国道36号線と羊ケ丘通が一番近づいたところに「清田店」(同市清田区)、JR恵み野駅の近くに「恵み野店」(恵庭市)と、分かりやすい場所への出店が続きました。しかし、「ダイイチ」は、札幌圏で少し市民権を得た段階で、十分に浸透していません。札幌圏の同業者は皆さん力がありますし、一つひとつのお店にも集客力があるので、まだまだ名前は広がっていません。



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