ラルズ猫宮一久社長インタビュー「親(横山アークス社長)を超える存在に」

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 アークス(本社・札幌市中央区)グループの中核であるラルズ(同・同)の社長に5月17日に就任した猫宮一久氏(55)。守屋澄夫前社長の跡を継ぎ、陣頭指揮を執る。1983年3月入社の猫宮社長は、大丸スーパーが金市舘との合併を経て株式を上場、M&Aを繰り返して食品スーパー全国2位になる経過を現場で支えてきた。道南ラルズ(函館市)の土手光三社長らとともにアークス横山清チルドレンの1人としてアークスの成長を引っ張る存在だ。その猫宮社長にラルズの未来図を聞いた。IMG_6630(写真は、インタビューに答える猫宮社長)

 ――社長就任3ヵ月が経過しましたが、あらためて抱負を聞かせてください。

 猫宮 前社長の守屋(澄夫氏・顧問)さんもそうでしたが、お客様満足度と従業員満足度の向上を貫きたい。これは、守屋がずっと言ってきたことで私もまったく同じ考え。お客様満足度の向上を図れば、当社に売上げと利益という形で返していただける。きちんとしなかったら、当然、売上げと利益は拡大しない。具体的に言うと、生鮮は味と鮮度と価格のバランスをきちんと取っていくこと。価格が先行すると生鮮はおかしくなる。味→鮮度→価格の順番を間違って商品の品揃えをするとおかしくなるから、その順番で商品を選定していくことだ。
 
 一般食品系は、やはり価格が大切な要素になる。すべてではないが、価格から逃げられない。ただし、価格ばかり追いかけると利益が取れなくなるから、利益のあるものを売りこなしていく力が必要だ。定番商品の売上構成比を如何に上げるかが必須で、そのためには定番の見直しを絶えずしなければならない。お客様の志向やトレンドが変わる流れを捉えて品揃えをする、そして価格を出すものは出していくというメリハリが必要だ。
 
 ――従業員満足度の向上については如何ですか。
 
 猫宮 お客様満足度の向上にメドがついたら従業員の働く環境は整えていかなければいけない。店長も完全週休2日制にしたり、管理職でも年間250時間の残業時間を超えないようにする。そうしないと小売業に人はもう来ない。その点、グループのユニバースは当社より進んでいると思う。
 ユニバースのLSP(作業管理、要員管理の仕組み)を参考にしながらラルズはどうしたら良いかと考えている。ユニバースの仕組みがあるので当社の運営系は本当に助かっている。グループの良い面を取り入れていき、労働環境を整備していきたい。

 ――トップに就いて見えてくるラルズの強みや弱みはどうですか。

 猫宮 当社の強みは売り切る力だ。弱みは、堅実なところ。横山さん(清氏・アークス社長・ラルズ会長CEO)はすごく堅実で、流行に飛び乗ったりは絶対にしない。投資も慎重で、堅実さはプラスの部分でもある。私から見て弱みの一つは、独自のPB(プライベートブランド)を持っていないこと。それは共同仕入れ会社で当社も加盟しているCGCジャパン(本社・東京都新宿区)のPBがあるため。このスタンスを変える必要性はないが、PBを独自に作ればさらに利益は増える可能性はある。
 後は、ここ数年間新規の出店をしていないことが弱みと言えば弱みかもしれない。個人的には年に1~2店舗は出店したい。新店を作ることで新しいことに取り組んだりして社内が活性化するからだ。しかし、おそらく経済が今まで以上に良くなっていく可能性は低いだろう。仮に無理な投資をして新店を作っても、それが全部コストとして跳ね返ってくることも想定しておかなければならない。
 
 ――当面の課題であるシガ対策は。

 猫宮 今年2月に引き継いだスーパーチェーンシガ14店舗は、3月からシステム統合と売場の見直しをして活性化してきた。ある程度落ち着いてきたと認識している。下期から1店舗程度の改装、数店舗の閉店を含めて検討していく。上期はシガの部門は赤字だったが、下期は収支トントンに持っていける施策を打っている。

 ――シガには小型店が多いですね。

 猫宮 余市町の4店舗をどうするかという喫緊の課題はある。小樽市の店舗は十分に戦える店舗だ。シガの売上げは、引き継いだ時に毎年10%ずつダウンするトレンドだった。しかし、余市に後志地区本部を作り当社から運営系とスーパーバイザーなど一個連隊を作った。7月から売上は上がっており、現状の年商70億円を早期に100億円まで引き上げる。

 ――石狩市の生鮮食品流通センターの増強を行っていますね。
 
 猫宮 店舗の従業員が人手不足で集まらないため、インストア生産を補う意味でもセンターによる生産は必要だ。石狩では、精肉のパッケージ化と水産の一部を製造している。現在、約10億円を投資して精肉のパッケージ比率を高めるとともに水産のパック化工程を増強している。シガの店舗にはこのセンターから供給しているほか、今後ラルズの150~200坪タイプの店舗に向けてセンター供給比率を高めていく。また今回の増強でグループの東光ストアにも商品を出す。こうした協業は今回が初めてとなる。今後は、東光ストアと物流面での協力体制も進めていく考えだ。
 
 ――ミャンマーの技能実習生も石狩のセンターで受け入れていますね。

 猫宮 石狩センターにはミャンマーから12人の技能実習生が入っており札幌・白石のデリカセンターには10人を受けて入れている。この秋に第二陣として同じくらいの人数を受け入れる。ビッグハウスやスーパーアークスの大型4店舗にも10人を実習生として受け入れ、石狩センターとデリカセンターでも受け入れる。
 
 ――札幌のSM(食品スーパー)市場は価格競争が激しくなっています。

 猫宮 この3ヵ月はさらに激しくなっていると感じている。すべてではないが、価格を忘れてはSMとは言えない。私が、意識しているのはイオングループとコープさっぽろだ。局地戦はあってもトータルではアークスを含めた3極の戦いだ。コープさっぽろの宅配トドックへの対策は真剣に考えなければならない時期だ。すべてのベースは、強いリアルな店舗であることに変わりはないが、宅配やネットスーパーなどの対策は考えていかなければいけない。
 
 ――今期の店舗活性化は。

 猫宮 昨年は、1店舗(ビッグハウスからスーパーアークスに転換した札幌市東区の光星店)のみだったが、今期は3店舗くらいの活性化を予定している。この店は何を売りにするのかというコンセプトをしっかり見通して改装する。店舗のブランド転換もあるかも知れないが、何のために、何が不足なのかを見極めてからだ。ただ綺麗にするのは、リニューアルとは言わない。

 ――M&A(企業の買収合併)については。
  
 猫宮 アークスと連携しながら考えたい。
 
 ――最後に、猫宮社長にとって横山アークス社長はどんな存在?。
 
 猫宮 端的に言うと親ですね。守屋さんや齋藤(弘氏・元ラルズ社長)さんは上司という感じだったが。

  ――その親を超えなければならないですね。
  
 猫宮 超えるようにしないと横山さんは悲しむのでは……。敢えて口に出しては言わないが、心の中ではきちんと整理しておかないと。
 
 ――本日はありがとうございました。
 

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