ふらの農業協同組合(村山友希組合長)は、湖池屋向けポテトチップスの生産能力を増強する。これに伴って農家組合員の馬鈴薯の作付面積を約40%増やす方向で調整している。ふらの農協のポテトチップス工場は昨年本格稼動を始めたが、今期で黒字化する見通し。農協の川下戦略の一環として注目される。(写真はふらの農協が所有する南富良野町幾寅のポテトチップス製造工場『シレラ富良野工場』)
ふらの農協は、湖池屋と業務提携しポテトチップスの製造工場を南富良野町に建設、昨年から本格供給を始めている。昨年度の年間売上高は約21億円で、ふらの農協の農産物加工品全売上高に占める割合は46%強に達している。
湖池屋は、埼玉県と京都府に工場を持っているが、埼玉工場は今夏の電力使用15%削減の影響で増産できず、京都工場は目下フル操業中。
このため、旺盛な需要に応えて行くためにはふらの農協の増産が不可欠とみて、業務提携先のふらの農協に能力増強を要請していた。
ふらの農協では、現在午前5時30分から午後10時30分までの二直体制で土・日は操業を休止しているが、土曜日も二直体制にすることでも湖池屋の要請に応えることにした。
また、原料となる馬鈴薯の作付面積も昨年の約170㌶から240㌶ほどに増やす計画。
村山組合長は、「馬鈴薯は2年間不作だったために、農家組合員の営農意欲はあまり高くない。希望を聞いたところ200㌶までは見込めるところまできた。農家組合員の中にはカルビー向けの馬鈴薯を作付けしているところもあり、順次湖池屋向けに振り向ける方向で調整したい」と語っている。
ふらの農協では、新たにドイツから新しい自走式ハーベスター(刈り取り機)を6500万円で購入、作付けを増やした馬鈴薯の収穫をスムースに行える体制も整えた。
ふらの農協は、ボテトチップス製造工場建設に補助金などを含めた約27億円を投じたが、今期は償却負担を経て黒字化する見通し。
「当初計画では3年目に黒字化する見込みだったが、1年早く達成できそう」(村山組合長)