5000億円の債務超過でも生き残るカブトデコムに独立会計監査人が虚偽記載を指摘

経済総合

 カブトデコムの2012年3月期決算において、独立監査人である山田純之公認会計士は「同社の決算が財産及び損益の状況を適正に表示していない」として監査報告書に不適正意見を記載していたことが分かった。一方、同社の取締役会は適法な会計処理を行っており虚偽記載等の不正な会計処理はないとして株主総会で決算承認の議案を提案し了承されたという。(写真は、札幌市西区のカブトデコム本社)
 
 カブトデコムの12年3月期決算は、売上高2200万円、経常損失147億6500万円、当期純損失194億3200万円と報告されている。
 
 同社の整理回収機構(RCC)に対する債務は3793億円だが、同社とRCCとの合意(02年3月25日)によって51億9700万円に減額され10年9月までに分割返済することになっていたが、12年3月期においても6億円の支払いが履行されていない状況であることも事業報告書で明らかになっている。
 
 連結計算書類に係る会計監査報告で独立監査人である山田純之公認会計士は、「不適正意見表明の基礎となる十分かつ適正な監査証拠を入手したと判断している」としたうえで、その根拠として「カブトデコムは前連結会計年度147億4800万円、当連結会計年度147億6500万円の経常損失を計上し、連結決算日現在4967億2000万円の債務超過に陥っており、又、支払期日を経過し返済を求められている借入金債務が3869億9400万円である。従って、事業の継続が困難な状況にある。このような状況にも関わらず連結計算書類は、継続企業を前提として作成されている」と表明、「カブトデコム及び連結子会社から成る企業集団の連結計算書類は財産及び損益の状況を適正に表示していない」と不適正意見を表明した。
 
 一方、カブトデコムの監査役会は、山田独立監査人の指摘を認めつつも、「他に適当な作成方法がないので、やむなく継続企業を前提として連結計算書類を作成したもの」という監査報告書を提出している。
 
 カブトデコムの取締役会は、独立監査人の指摘に対して「従前より適法な会計処理を行っており、虚偽記載等不正な会計処理を行ってことはない」としたうえで株主総会に提案し了承された。
 
 カブトデコムは、米国に100%出資の「カブト・インターナショナル・コーポレーション」(資本金1億5400万ドル)や「カブト・インターナショナル・フェニックス・インコーポレーテッド」(同4500万ドル)など6社の子会社を持ち、不動産開発、リゾート施設運営などを行っている。
 
 カブトデコム株主の中には、有価証券報告書がこうした米国資産を正しく反映していない虚偽記載に当たるとして追及する動きも出ており、独立監査人の不適正表明とともにカブトデコムを巡る資産隠蔽疑惑がここにきて一気に表面化しそうだ。

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