特別清算手続きを進めているカブトデコムの代表清算人、安田好弘弁護士は11日、解散決議した2月末時点での会社財産を確定するため札幌市内で臨時株主総会を開催した。清算財産目録と清算貸借対照表の承認を得るのが目的で、出席株主と書面参加株主の過半数が賛成して承認を得た。
総会では、整理回収機構(RCC)が75億円の債務返済を受けていたことが明らかになり、併せて米国子会社のカブト・インターナショナル・コーポレーションが全資産を売却したことも報告された。当日出席した株主は11人で、承認3人、反対5人だった。(写真は、札幌市西区のホテルヤマチで行われた株主総会)

 
 総会で安田代表清算人は、米国の子会社カブト・インターナショナル・コーポレーションが全資産を売却して75億円を親会社のカブトデコムに送金、その後RCCに支払い利息として同額を払ったことを説明した。
 
 安田氏は、「資産売却でカブト・インターナショナル・コーポレーションは財産がゼロになり営業していないというレポートを同社から得ている」と述べたが、株主の一人は「米国子会社の登記は残っているし、つい最近も社長はいつものように会社に出ていることを確認している」と質問する場面があった。これに対して安田氏は「レポートを信じて欲しい」と述べるにとどまった。
 
 RCCが75億円を受け取ったことに対し、株主から「株主に分配される残余財産を奪い取る行為」と指摘する声も出たが、安田氏は「RCCは債権者だが株主ではないので(借金返済は優先される)」と答えていた。
 
 RCCのカブトデコム債権は3648億円だが、両社は2002年3月に51億円を8年間で分割返済する合意を取り交わしている。しかし、合意の債務額のうち6億円は昨年3月時点では未払いとなっていた。今回の臨時株主総会で明らかになったのは、カブトがRCCに支払った額が75億円にも及んでいる点。02年に合意した51億円をはるかに上回る120億円もの債務返済をカブトが行ったことになる。しかも、RCCと安田氏は、米国子会社から「資産がゼロになったというレポート」を受け取っているだけで実際には検証していない。
 
 RCCはカブトとの合意を上回る返済を受けたことに対する株主への説明責任があるのではないか。


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