(写真は、2026年8月に支笏湖温泉に開業する新しい宿泊施設「しこつ湖 鶴雅別荘 湖白の抄」の外観)
──2026年度から宿泊税が導入されましたが、北海道観光機構が要望していた、一部を基金化して災害などの不測の事態に備える案は先送りになりました。
大西 観光業は、北海道経済を支える大きな産業でありながら、あまりにもセーフティーネットが弱い。災害の発生や国際情勢の変化で簡単に揺らいでしまうのがこの業界です。コロナ禍で明確になったのは、旅館を閉めたらお客さまの移動がなくなり、交通事業者に影響が出る、食材を仕入れられないので生産者にも影響が出るということでした。私たちの事業が持続的であることが、地域経済にとって非常に重要なのですが、そのためには、やはり普段から基金を積み立てておくことが必要です。私も機構の理事の1人として、今後もこのことを訴えていく考えです。
──ニセコの事業所で起きた重油流出事故は、残念な出来事でした。
大西 本当に反省しかありません。地域とともに成長し、地域に恩返しをしていくことを大事にしてきた企業なのに、地元の皆さんに大変なご迷惑とご心配をかけてしまいました。危険物に対する意識と管理を徹底するほか、地域の方々に透明性を持った説明を行ない、真摯な対応をしてまいります。
──希社長ご自身は、どのような夢を描かれていますか。
大西 ここまで施設を増やしてこられたのは、各地の元旅館オーナーの方々や地元の皆さまからのご理解とご縁をいただけたからだと感じています。それは、会長や先輩たちの「(事業を通して)地域にしっかり還元し、地域が良くなることによって会社も良くなる」という思いが評価されてきたからだと思っています。それをきちんとビジネスモデル化し、各地の温泉宿を軸に循環経済を生み出す流れをつくりたい。
お客さまをお迎えし、その利益を地域の教育や自然に還元していくという循環です。今まで無意識にやっていたことを意識的に地域に約束をしながら、鶴雅が一つの核になって地域経済を豊かにする役割を確立したい、そんなイメージを抱いています。
──会長と社長の役割分担は。
大西 父は現場を離れて久しいので、私が社長になってもあまり変化はありません。会長は取締役会に出席して、役員陣に喝を入れています。決議については、さまざまな会議体で協議するよう整理をしたので、それらを踏まえて私が最終決定しています。
──ご自身の趣味を聞かせてください。
大西 あえて言うならマラソンでしょうか。2022年に初めて北海道マラソンに出場させていただいたのですが、その時は20㎞付近でリタイアしてしまいました。ですが、その後も毎年走っています。一度完走すると、どんなに辛くてもこれぐらいだったら乗り越えられると思えてきて、逆にリタイアできなくなるんですよ(笑)。今では50人ぐらいの仲間たちと一緒に走っていますが、とりあえず制限時間以内に帰ってきています。
──それは凄い。
大西 私は学生時代に華道部だったこともあって、人から「ガンバレ」と言われたことがあまりなかった。マラソンでは沿道から「負けるな」とか「ガンバレ」とか、これまでいただいたことのない言葉をずっと掛けてもらえます。これほどうれしいことはなく、励みになっています(笑)。これからも走り続けると思います。
──本日はありがとうございました。


































