――札幌で会社を設立することに強いこだわりを持っていたのですね。

 嘉屋 ウイン・コンサルに入社したころにさかのぼりますが、大学の同期生は卒業すると大半が東京に就職します。当時でも東京への就職組と地元組が半々くらいでした。今は道外に就職する比率はもっと高まっていると思います。

 ――それを何とか止めたいと。

 嘉屋 そうですね。振り返ってみて2000年当時はIT業界も東京偏重があった時代です。今は、クラウドやインターネットが普及していますから北海道でできないような仕事は減っています。札幌に住めば、土日はスキーやアウトドアを楽しむなどワークライフバランスを保つこともできます。好きなところに住み、好きな仕事もできるようになってきました。00年から抱いていたそんな思いを募らせて札幌に会社を設立したわけです。

 ――そういう思いを持つ人は多いですが、実際に起業に踏み切る人はあまりいません。大きな決断が必要だったことでしょう。セールスフォースの市場性、将来性にも強い見通しがあったということですね。

 嘉屋 セールスフォースを利用している会社は大企業が多く、中小企業ではまだそれほど浸透していません。それでも道内ではペットショップや砂利砕石会社、青果店、老舗旅館など業種業態を問わずセールスフォースの導入が進んでいます。
顧客管理のシステムとして皆さん使っていますが、販売管理だけではなく顧客の情報を顧客に寄り添う形で管理できるのが特徴です。私たちがターゲットとしているのは中小企業。セールスフォースは1999年に米国法人ができ00年に日本法人が設立されましたが、売り上げは毎年20%ずつ20年間成長を続けています。現在の売り上げは1兆2000~3000億円あって、20%成長をこれからも続けると見られ、あと3年ほどで2兆円を超えてくる予想があります。

 よく経済圏と言ったりしますが、セールスフォースの経済圏がどんどん拡大していますので、セールスフォースを使う会社が増えれば増えるほど、私たちの会社の仕事も増えていきます。

 ――どういう顧客管理の対応が可能なのでしょう。

 嘉屋 顧客管理で何が問題かというと、顧客情報、名刺の情報など皆さんは個別に持っていたり、個別のエクセルに入っていたりします。見積もりも個別に出し、日報も個別に書いています。また、提案はパワーポイントで使うなど全部バラバラに対応しているのが現状だと思います。

 営業の担当者がその会社を調べたい時に、今まで何をやってきたかを個別に検索します。マネージャーの人なら集計作業や見積もりが何件出ているのかを調べる際に個別に調べています。それが普通ですが、すごく無駄が多い。営業機会の損失や改善機会の損失に繋がり、業績がなかなか上がらない一因になります。
 働き方改革と言われていますが、働く人が減っていくので1人当たりの売り上げや生産性を上げていくためには、こんなことをやっていたのではそもそもだめ。セールスフォースを使うと顧客に紐付けする形で様々な情報が全部見えてくるようになります。
 インターネット環境が整っていればどこでも使えるので、いつでもどこでも誰もがあらゆるデバイスから必要とする情報にアクセスできるのですごく便利です。

 チャットツールもあり、以前の担当者に「この会社の社長はどんな人?」と聞いたりすることもできる。その他、90日間訪問していない顧客リスト一覧や5年経過したお客さま一覧などを出して、モバイルで見て訪問することもできます。勘と経験で取り組んでいた仕事から科学的で定量的な情報で判断していくことができます。退職する時にこのような情報が集まっていれば引き継ぎも簡単です。営業部門で使われることが1番多いのですが、どんどん機能を付け加えることもできるので、100社あったら100通りの使い方ができます。



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