――北海道の市場をキットアライブがカバーしているのでしょうか。エリアを限定した事業ですか。

 嘉屋 セールスフォースを手掛けているパートナーは、現在国内で300社くらいあります。その300社がエリアを分けているのではなく、基本的にどこでも自由に営業活動ができます。

 ――セールスフォースのパートナーにはどのような企業がありますか。

 嘉屋 富士通やNECなどの大企業もありますが、私どものような小回りの良さがある企業もあります。私たちがミッションに掲げているのは、お客さまが事業改革をしたいと思った時、そこにチャレンジすることを身近に手助けしていくことです。今、ITを使わずに事業改革していくのはなかなか難しい。何らかの形でITを使っていく中で、私たちがセールスフォースを提案しているのは、不確実性が高い要素に対して可変的に対応しやすいシステムだから。1回作ってしまってそれで終わりではありません。

 ――どんどんとバージョンアップしていけると。

 嘉屋 セールスフォース自体も進化していますから、どんどん新しい要素ができてきます。外部環境の変化に対応しやすいので、私たちも様々な提案が可能になります。

 ――契約後もフォローしていくわけですね。作って終わりではなく顧客と共に成長していくようなイメージですね。

 嘉屋 そうです。提案からリリースしたあとの保守までさせていただきます。今、並行して進めている受注先は25社。売り上げは、まだ札幌、北海道が少なく本州の比率が高い。首都圏や大都市の大企業がセールスフォースを使うのは当たり前になっているので、求めるシステム開発の規模感がものすごく大きい。中小企業と一緒に伴走していける技術力があるセールスフォースのパートナーは、まだそれほど数として多くない状況です。

 ――今年4月には北洋銀行と北海道二十一世紀総合研究所が、「SDGs推進ファンド」を通じて御社に1980万円の出資、資本金は9339万円になりました。今後の資本政策についてお聞かせください。

 嘉屋 今までは、ウイン・コンサルやテラスカイ、セールスフォース本体の出資でしたが、『キタリブ』と言いながら北海道色があまりなかったので、北海道の後ろ盾が必要と考え「北洋SDGsファンド」に出資をお願いしたという経緯です。現在、当社に欠けているのは採用活動です。社歴が浅いので、北洋銀行が組成するファンドが出資している企業という信用力を高めたい。北海道の顧客にも同様の信用力をアピールできたらと思います。

 ――先ほどの受注先25社の道内外の内訳はどうですか。

 嘉屋 道外が約6割です。道内と比率が逆転するのはもう少し先です。道内も伸びていますが、道外の伸びの方が今のところ大きい。

 ――売り上げの推移は。

 嘉屋 18年12月期が2億3400万円で少し赤字になりました。今期は4億円を狙い黒字転換を実現します。先程言いましたミッションと絡みますが、私たちの強みは顧客に寄り添って顧客の立場に沿った形でシステムを作るということ。顧客がどんどん自分たちでカスタマイズして作りたいシステムを作っていくと必ず大きな目標が出てくるはずです。それをご相談いただきたいと考えており、大きなシステム構築を私たちがやっていきたいと思います。そのことで顧客も私たちも共に成長していくのが理想的な姿だと思います。そういう正しいIT業界の成長を実現していこうと思っています。

 ――顧客と寄り添ってIT業界とともにユーザーである業界も共に成長していく考え方ですね。

 嘉屋 あまり儲かりませんけどね(笑)。でも最終的にはそういう会社しか残らないのではないかと思っています。



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