サンデパート、札信金、札証新ロゴ 001 札幌市は10日、市の都市計画審議会で現サンデパートや北洋銀行札幌南支店がある「南2西3南西地区再開発事業」により計画されている高層複合ビルの概要を明らかにしたが、審議会委員の指摘で必要な駐車場が同一敷地内に確保されないことが明らかになり、再開発計画は駐車場問題がネックになってきた。場合によっては計画練り直しの可能性もある。(写真は、南2西3南西地区再開発が予定されているサンデパート)
 
 地権者らで構成される再開発組合が計画している南2西3南西地区の再開発ビルは、地下3階、地上29階建てで低層階の地下2階~地上6階は商業施設、7階以上の高層階は130戸の分譲マンションになる。
 
 具体的には敷地面積3700㎡で建築面積3200㎡、延床面積は4万2000㎡になる。高さは駅前通に面した低層階が36mで高層階は122m。敷地の20%を公開空地とし、地下1階は吹き抜け、地上1階部分と屋上には市民に開放する広場を設ける。こうした交流空間の確保によって容積率を基準では800%のところ150%上積みして950%にする。
 
 駅前通側には市電ループ化によって停留所が設けられるため待ち合い空間として整備、地下街ポールタウンとも直結してエレベータ、エスカレータも設置、地下と1階は午前5時45分から翌午前0時まで開放する。
総工費は150億円で再開発補助金は15%、23億円を市と国が負担する。今後都市計画決定を経て2015年に着工、17年に工事が完了する予定。
 
 この計画に対して審議会で委員から指摘されたのが駐車場問題。大規模小売店舗立地法による規定とマンション世帯に応じた駐車収容台数として提示されたのは185台。内訳は商業用120台、住民用60台、荷捌き用5台。
 
しかし、そのうち商業用の120台分は250m離れた民間駐車場と契約する計画になっている。本来、同一敷地内に駐車場を確保するのが基本で、飛び地駐車場は異例。市は「今春から都心部では飛び地でも駐車場を確保できれば附置義務違反とは認めない」としている。しかし、委員からは「民間駐車場が契約解除したらどうなるのか」、「駐車場が確保できなくなったら商業施設は営業できなくなるのか」と言った質問や「条例を改正せずに250m以内に民間駐車場を契約で確保すれば附置義務を満たしていると判断するのは拡大解釈だ」という意見が出るなど紛糾した。
 
 120台分の駐車スペースを再開発ビルに設けずに容積率を150%上積みする市の裁量について疑問視する意見も出るなど、今後駐車場問題は「南2西3南西地区再開発」に大きな影を投げかけそうだ。なお、10日の都市計画審議会で提示されたこの計画は事前説明の扱い。本審議となる諮問は11月に予定されている審議会で行われる。


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