地方独立行政法人の北方建築総合研究所(略称・北総研)は、住宅や一般建築物の省エネルギー、断熱などの技術ノウハウを東日本大震災で被害を受けた東北地域の復興に供与する方向で検討を始めた。11月末に同研究所を視察した前田武志国土交通大臣が「研究成果を大震災の復興に活用したい」と発言したことを受けたもので、国交省内で検討を始めているという。(写真は、旭川市にある北方建築総合研究所)
 
 北総研は、寒冷地の住宅や都市の建築物を総合的に研究する機関として1955年に道立の「寒地研究所」として札幌市西区琴似に設立されたのがルーツ。研究領域の範囲を広げるなどして2002年に旭川市に移転し「北方建築総合研究所」に改組。10年から道立の研究機関が、地方独立行政法人北海道立総合研究機構に集約されたことにより建築研究本部北方建築総合研究所に衣替えしている。
 
 北総研では、50年以上に亘る寒冷地住宅の研究開発で、効率的な断熱や換気、暖冷房のシステムに蓄積がある。環境負荷低減や快適な住環境を実現する研究開発では国内でもトップクラス。
 
 11月に前田国交大臣は白老町のアイヌ民族博物館や旭川市を訪問。旭川訪問では、京大工学部卒で建設省キャリアだった前田大臣が寒冷地の住宅・建築物の省エネ研究で実績のある北総研を視察先として自ら選択したという。
 
 北総研の視察時間は当初20分とされていたが、前田大臣は予定をオーバーして80分間、北総研の技術ノウハウなどについて熱心にヒアリングを行った。
 
 前田大臣は「北総研の研究成果を東日本大震災の復興に活用したい」と述べ、国交省内にもプロジェクトチームが結成される予定という。
 
 都道府県でこうした住宅などの建築に関わる総合的な研究を行っている機関は珍しく、北海道の寒冷積雪地域で培われた技術が他府県でも活かされることになりそうだ。



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