セコマ(本社・札幌市中央区)は、コンビニエンスストアの業態を超えた総合流通産業への道を着々と進んでいる。北海道に優位性がある食資源を使った商品開発では、今や食品製造業の顔を持つ道産子企業だ。北海道という地域の強みを生かした企業として発展してきたという意味では、地域オリエンテッドな企業カラーが競争力の源泉になっている。15日に行われた政策説明会での丸谷智保社長(61)のスピーチ最終回をお届けする。IMG_0430(写真は、アイス生産拠点のダイマル乳品工場)

 ヨーグルトやアイスクリームをよく買う年齢層をクラブカードで分析してみると、いずれも50代、60代で中でもアイスクリームを一番買う年代は60歳以上。この世代の3人に1人はアイスを買うために来店している。似たような傾向は乳製品についても言える。ヨーグルトの直近12週間の販売実数は、60歳以上が35万個に達している。高齢化のマーケットに直面しなければならないと言ったが、そこには新たな需要があるということだ。
 こうした新たなマーケットに対応するため、豊富町の豊富牛乳公社でヨーグルト工場を12億円で建設、来春から稼働するほか羽幌町のダイマル乳品ではアイスクリームの生産能力を7月に増強した。高齢者と本州向けの需要に対応するためだ。
 
 アイスを運ぶにはフローズン物流が必要になるが、昨年、協立乳品のフローズン物流をセイコーフレッシュフーズに統一してドライ、チルド、フローズンの温度帯で一貫物流できる体制を構築した。釧路市に新しい配送センターを年内に完成させる。釧路の現センターが老朽化して手狭になったこともあるが、最大の理由は3・11以降、ハザードマップが変わってそれまでは大丈夫だった場所が、10m以上の津波を想定する新しいハザードマップでは水没してしまうからだ。
 新しい釧路配送センターは海抜20m以上の内陸部、空港近くの奥になる。市内から離れたが道東道の阿寒インターに近く、アイスクリームのようなフローズン物流に貢献できる。
 
 また一方で本州に売っていくため、本州に冷凍のストックポイント整備を2ヵ所で行っており、販売チャネルに対応できる物流設備を整備した。この物流については大手メーカーと提携、私どもが牛乳とかアイス、大福を本州に向けて送り、カップラーメンや焼酎など私どもが本州で作っている商品を北上させ、両方の物流をカバーしている。ただ売るものが増えていけば南北間のバランスが崩れるため、一部大手のメーカーと提携して北海道に向かう便を私どもで利用させてもらう取り組みも既に行っている。
 
 サービス産業生産性協議会が実施する顧客満足度調査コンビニエンスストア部門で今年も1位になった。昨年はセブンと0・2ポイントの差で2位だったが、首位に返り咲いた。一番大きな理由は知覚価値。良いものが安く買える、安いのにものが良くておいしい。そこに満足が高く生じる。 
 知覚価値は原料調達、製造、物流も含めて一環でやる仕組みだからこそ実現できる。惣菜やアイス、牛乳にしても、仕組みで安くできるのでお客様に受け入れられている。
 
 北海道にふんだんにある良質の食資源を生かした商品の進化形として、より特徴のある商品を本州方面に販売していきたい。まだわすか3億円くらいの実績だが、少しずつ海外にも北海道ブランドの商品を輸出している。北海道から本州、さらに海外に向けて商品販売を志向していきたい。
 
 セコマグループは、北海道のいろんな場所に工場があって店舗従業員とともに2万1千人の雇用を創出している。この雇用創出は、巡り巡って家族を含めて私どものお客様になってくれる人たち。過疎化や高齢化への対応のひとつとして微力ながら雇用を創出して雇用を守り、それがお客様の創出につながっていくと考えている。
 
 ひとつの業界で事業展開して40年以上が経過した。そこから脱皮して特徴を作り、より強くしていく。『コンビニに行く』から、『セイコーマートに行ってホットシェフを買いに行く』、『500円ワインを買いに行く』など明確な来店動機を持ったお客様を増やせるようにする。お客様の満足度である知覚価値を支えるための良い製品をより安く販売するため、総合流通産業の企業力をより強くしていく。(構成・本サイト、終わり)



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