道内で食品スーパー同士の潰しあいが始まっている。原価を割った商品の販売があちこちで行われ、デフレで価格に敏感になっている消費者はその日のチラシによって買い物をする店を変えるジプシー化が急速に進んでいる。


食品スーパー業界は、今年既に3社が倒産・廃業した。妹尾商店(釧路)に海商、そして旭川の旭友ストアー。食品スーパーは日銭が入るからなかなか倒産しないと言われていたが、内部の経費削減努力は限界に達し、来店客が少しでも減れば一気に傾いていく。
今年後半に向けて、倒産予備軍の名前も業界では具体的に挙がっている。中標津のT、名寄のS、余市のSなどいずれも地方展開しているところだ。中標津のTや名寄のSは食品スーパーと言うよりもGMS(大規模小売店舗)の業態で余市のSは小樽や札幌にも食品スーパーを展開している。そのほかにも、西友が道内店舗の切り売りを地場食品スーパーに打診し始めたなどという情報もある。
塀の上を歩くが如くの食品スーパー経営で、生死の境目は仕入れ力があるかどうかにかかっているという。
仕入れ力があるのは、やはり大資本。イトーヨーカ堂は業界内で「日本の流通業の中で一番の金持ち。仕入れ力も全国一」と言われている。イオンも財務面ではヨーカ堂と比べて大きく見劣りするものの、全国展開を図っており仕入れ力は圧倒的だ。
道内で言えば、仕入れ力があるのはアークス、コープさっぽろなど限られる。
問屋やメーカーも商品をチェーン店を持つ食品スーパーにしか売らなくなってきているという。価格がこれだけ下がれば、問屋やメーカーが小売店に支払うリベート(販売奨励金)も下げざるを得ない。
業界内では、「イオン系列のマックスバリュ北海道はスーパー最終戦争を仕掛けた」と囁かれている。価格を前面に打ち出した『ザ・ビッグエクスプレス』の店舗名で既存店を改装、周辺のライバル店舗を価格戦争に引き込んでいるからだ。
札幌市内は食品スーパーが密集しており、『ザ・ビッグ』はその掃除役を果たすということなのか?
(写真は名寄のSが枝幸に展開するスーパー)

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