北海道電力泊原発3号機のプルサーマル計画を巡って行われたシンポジウムなどの「やらせ」問題を調査していた第三者委員会は14日、北電の組織的関与と道の関与を指摘した報告書を公表、北電と道が一体となってプルサーマル賛成への道筋をつけていたことを炙り出した。今後、北電が国に提出する最終報告書をまとめるに当たって第三者委員会の指摘した根幹部分を採用するのか、九州電力と同様に除外するのかに焦点が移る。「やらせ」問題が道民意識に刷り込まれた現状では、定期検査中の泊原発1、2号機の再稼動議論は当面封印せざるを得ず、実際に再稼動できるのは早くても来春以降と大きく後ズレしそうだ。(写真は、夕闇に溶け込む北電本社ビル)
 
 北電が9月上旬に設置した市川茂樹弁護士を委員長とする第三者委員会がまとめた報告書では、北電が①国主催のシンポジウムで想定質問を準備した際に当時の常務が黙認②本社が動員を指示③意見募集で社員に投稿を要請④泊原子力事務所渉外課の課員が地元住民の名前を無断で使い賛成意見を捏造――と指摘、さらに道が北電に対し「反対派の主張を打ち消す意見が欲しい」と依頼したことは否定しがたいと道の関与についても言及した。
 
 名指しを受けた道は関与を全面否定しているが、独自調査を始めることを明らかにしている。また、「道も第三者委員会を設置して検証すべき」という声もあがっている。
 
 北電の第三者委員会の調査結果は、道民意識にストレートに響くものとなったが、道と北電が「やらせ」の当事者として言及されたことによって今後は道議会が重要な役割を担うことになる。道議会は道民の声を代弁する機関でもあり、第三者委員会の報告を受けて危機打開に向けた処方箋をどう描くか、道議会の責務と役割はかつてないほど大きくなるのは必至。
 
 また、北電は第三者委員会の報告を受けて国に最終報告を行うことになるが、道の関与についてどう盛り込むのか注目される。九州電力の場合は、第三者委員会が指摘した根幹部分となる古川康知事の発言を国への最終報告に記載しなかったが、北電は道職員の関与について無視するのか、採用するのか。
 
深いやらせの闇に光を当てた第三者委員会の調査報告を生かすも殺すも北電と道次第だ。その際、独立した第三者として道議会の見識と洞察が道民の命運を握っている。


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