北海道電力のプルサーマル計画導入に当たって“やらせ”を促す発言をしたと、道の第三者検証委員会で指摘された村井悟・元原子力安全対策課長(現釧路総合振興局長)が26日午後2時から道庁で会見した。村井氏は前日、釧路で会見を開く予定だったが急遽本庁幹部等からの聞き取りが入り、札幌での会見となった。
 村井氏は冒頭に、「道政に対する道民の疑念を抱かせたことは申し訳ない」と述べた上で、「調査結果を受け入れたい。2008年の意見募集で賛成意見を依頼する考えはなかったが、そう取られてもしようがない言い方をしたかも知れない」と語り、検証委員会の報告書を尊重する姿勢を見せつつも意図はなかったことを強調した。(写真は会見する村井悟・元道原子力安全対策課長)

 
 会見には記者約30人が出席、村井氏は冒頭に陳謝する発言を数分間した後に記者の質問に答える形で自らの考えを示し、会見が終了したのは午後3時40分。
村井氏は終始落ち着いた調子で受け答えし、時おり笑みを浮かべたりしながら持論を展開した。
 
 道検証委は村井氏の発言の裏にプルサーマル計画導入で国からの交付金が得られる期限が09年3月末に迫っていたことを挙げているが、村井氏は「そうしたスケジュール感を持って仕事をしていたのは間違いない」と語り、自身のプルサーマルについての考えは「賛成とか反対ということではなく中立の立場で進めていた」と明らかにした。
 
 村井氏が感情を露にしたのは、北電第三者委員会が村井氏のやらせ依頼があったと結論付ける元になった北電社員によるメモに質問が及んだ時だった。
 
「北電第三者委員会のヒアリングでメモを見せられたが、その時に違和感があった。こんなことは私が発言するわけがないと不快感を持った。書かれている項目については言ったことがあるにせよ、表現とか趣旨とか発言の目的とは違うんではないか、という感じがした」と村井氏は強い調子で答えた。
 
 また、今後道から処分があればどう受け止めるかについては、「何らかのお沙汰があるのかなと思っているが、当然私は組織の人間ですからそれを受けて対応していかなければならない」と語った。
 
 道庁マンとして重心が安定していると評価がある村井氏と記者との受け答えは、いつのまにか村井氏のペースで進んでいった。受け答えする村井氏に気負いや迷いは感じ取られなかったが、会見によってむしろ道の組織的関与はなかったという検証委の報告書にお墨付きを与える効果があったように思える。村井氏との一問一答は、 “やらせ”が生じるメガニズムが暗黙知であることを浮かび上がらせたと言えそうだ。


1人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。