第2回定例道議会が14日開会、高橋はるみ知事は3期目4年間を貫く道政執行方針演説を行い、「地域とともに行動する」、「世界を視野に展開する」、「「果敢に挑戦する」の3つを基本方針にする考えを表明した。経済官僚出身知事らしく、松下幸之助の不況克服心得10ヵ条の中の一節、『かつてない困難から革新が生まれ、かつてない革新から飛躍が生まれる』――を引用、たゆまぬ挑戦で北海道の困難を克服し、新たな発展を期することを訴えた。(写真は執行方針演説をする高橋知事)
 
 知事は3期目を2期8年の延長ではなく、未来へ続く新たなステージに挑戦していく期間と位置づける。そのうえで、道政執行の基本方針として真っ先に上げたのは地域へのこだわりだった。「道は多様な地域の集合体。地域との対話を大切に市町村と一体となって地域とともに考え行動する」と述べ、支庁制度改革でギクシャクしたままの市町村との関係改善に決意を示した。
 
 2つ目に掲げた世界を視野に展開する道政では、インバウンド(外国人観光客)誘致や食を中心とした輸出などで東アジアを中心に強化していくことを強調。「本道はひとつの国に匹敵する。国を創る気概を持って可能性を広げる」と訴えた。
 
 3つ目に掲げたのは、高いハードルに怯むことなく挑戦する姿勢。未来の課題を問い直して道庁全体で共有し、様々な方面から知恵を導入していくとした。
 
 基本方針のもとに進める政策展開では、ドクターヘリ、ドクタージェットなど自治体と連携してどこに住んでいても安全で安心な環境を整備して、人口減少・高齢化と言った成熟社会のモデルづくりを進める考えを示した。
 
 また、「雇用の安心」、「震災・防災対策」、「力強い自立経済」、「次世代循環モデルの創造」「グローバルネットワークの構築」、「交通基盤整備」、「移住・交流の促進」、「アイヌ文化振興、北の縄文文化の世界遺産化」、「スポーツ王国」などに言及。それら政策展開のキーワードとして『安心、飛躍、絆』を掲げた。
 
 執行方針演説の最後にこれら2780億円の2011年度一般会計補正予算案を提案した。
 
 知事の執行方針演説は約40分間に及んだが、3期目の大きな目玉政策は出てこなかった。5年連続の赤字予算で11年度には190億円の財源不足になり基金取り崩しなどでやりくりするものの、財政危機がのっぴきならない状態の中では目玉政策も打ち出せず、いわゆる延べ単仕事にならざるを得ない。
 
 執行方針演説には知事の個性が表に出てこず、3期目の重厚感や迫力も響いてこなかった。経営の神様、松下幸之助の言葉を引用したのであれば、それを具体化する道筋を示して欲しかった。平均よりもやや上を狙ったような演説と予算に裏付けられた実際の政策とのミスマッチを最小限に抑える苦心のあとが感じられるようでは、『革新』、『飛躍』という言葉が宙を舞うだけである。
 
 道議会では知事の予算提案について議案調査をするために15~17日と20日を休会とし21、22日に各会派が体表質問を行う。


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